区内菅生ヶ丘にある鷲ヶ峰遺跡から出土した旧石器時代の石器群が先月、川崎市重要歴史記念物に指定された。市担当者は「市内で10カ所しかない旧石器時代の遺跡の中でも旧石器人の生活が良く分かる貴重な石器」と話す。現在、市民ミュージアム(中原区等々力)で常設展示されている。
同遺跡は菅生ヶ丘の多摩丘陵の尾根上にあり、菅生ヶ丘8061と同2174の2地点に分かれて立地している。1981年、91〜92年、94年に集合住宅建設に伴い各地点で発掘調査を実施した際に旧石器時代の石器群等が出土した。
今回、市重要歴史記念物に指定されたのは出土した石器のうち、2万3000年前と3万数千年前の2つの年代の石器計95点。
指定理由は石器の種類や数、出土地点等から同遺跡は旧石器人が短期的に滞在して石器を使用した作業場であったことが分かり、小集団で移動しながら生活していた様子が推定できる点。
特徴的なのは出土場所だ。市内に10カ所ある旧石器時代の遺跡では天候や地形の変化により石器が流される等して旧石器人が生活していた場所と出土地点が異なり、石器が点在していることが多い。一方で同遺跡の出土品は両年代とも当時生活していた場所からまとまって出土している。
また、出土数も特徴のひとつ。県内660カ所の旧石器時代の遺跡を見ると、石器作りの際に出る石のかけら等を合わせて500〜1000点の石器が出土するのが一般的だが同遺跡にはそれが見られず、2万3000年前が43点、3万数千年前が52点と少ない。そのため、少集団が石器作りは行わずに完成品を持って食料を求めて移動しながら短期的な滞在をしていたことが見て取れる。こういった点から旧石器人の生活を窺い知ることができる資料的な価値が高いと言える。
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