高津区 人物風土記
公開日:2012.12.07
2012年度かわさきマイスターに認定された葉山工業有限会社(高津区野川)代表取締役
千葉 忠夫さん
横浜市在住 68歳
「若い職人の励みになれば」
○…「私ひとりが貰ったわけじゃない。会社を代表して頂きました」。前年マイスターに選ばれた職人仲間に推薦され、精密板金加工の優れた技術を保持しているとしてマイスターの称号を受け、謙虚に答える。「職場のみんなにありがとうと伝えた」。カメラマンを呼んで社員全員で記念撮影し、喜びを表すと同時に「マイスターの名を汚すことがないように、しっかりとした仕事をしなければならない」と気を引き締める。
○…中学卒業後、現在も一緒に働く同僚と金属プレスの仕事に従事。28歳の時、結婚を機に会社を立ち上げてから40年、職人ならではの技術で小物中心の板金を手掛ける。現在もパソコンやスマートフォンなど繊細な技術が要求される精密部品を製作する。今は長男を中心とした若い社員に現場や外交などを任せ、走り回る背中を後押しする。「会社の方向性に関して息子と言い合いをすることもあるが、ほとんど任せている」。今回推薦状を書いてくれた長男に対し「息子に貰ったプレゼントでもあるかな」と照れながら話す。
○…昭和19年板橋区に生まれる。小学生の時、中原区井田へ移り、井田中学校を卒業後に板金の世界に。以後53年に渡りものづくりに打ち込んできた。「ずっと女房に支えられてきた」と常に仕事に協力してくれた妻に感謝の気持ちを表す。一緒にカラオケを習うなど仲が良く、「会社が続くかどうかは女房しだい」という持論も説得力を増す。
○…「ものを作っているだけじゃつまらない。いろんなことに挑戦する必要がある」。近隣の製造業との間で研究会を結成し、試作を重ねるなど向上心を維持してきた。人や地域とのつながりを大切にする人情派、後継者育成にも取り組んでいる。「若い職人には失敗を恐れるなと言う。腕のいい人は失敗を繰り返しているはずだよ」と力を込める。「マイスターの栄誉が、若い職人の励みになってくれたら嬉しいですね」
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