高津物語 連載第八四一回 「落語大山詣り(二)」
決式(けっしき)で向こうへ行って喧嘩の原因を作った者は二分つつ徴る事、暴れた者は皆で坊主にする約束をした。
結果何の揉め事もなく、無事に大山講(おやま)を済ませ、神奈川宿にて泊する事になる。「明日は江戸に入るとなると之と、気の弛(ゆる)み、ねェ。」熊が酔払って湯殿で喧嘩が始まる。「俺が入るったって見りゃ判るじゃねぇか、二人で一杯(いっぺぇ)なんだから。なぁ、今俺、すぐ出るから体でも洗って待ってねェって。半公と二人体小ちゃくしてね、前の方少し明けてやったン。そしたらそこィあの野郎がね、こォンな大きな尻(けつ)をね、無理にクァーと割込ましてきやがン。その上、唄まで歌うんだよ」「途端に野郎一発やりやァがったんだよ。湯ン中だからたまんないよ。ボコボコボコって上がって来やがって俺の鼻先でパチンと開(しら)くじゃねェか。間の悪い時ってのは仕様がねぇもんで、こっちが息を吸い込む時だろ?これがまぁ臭(くせ)ェのなんのったって、汚ェ行為するな!ったらね」「何が汚ェんだい、出物腫物所嫌わずだ、仕方ねぇじゃねぇかェ、それよりも、手前(てめぇ)は俺の屁を断りもなしに嗅ぎやがった。今嗅いだ屁を返せって、こう言いやがンだよ。」
かくて喧嘩の契機(きっかけ)を作ったのは悪いからと、二分を払い、熊公を坊主にし、中二階の戸棚に蚊帳を被して翌朝全員で出立し、後片けの女中が熊を発見する。
熊は江戸直行の駕籠を注文、暑いのに両方の垂れを下ろし、一行を追抜いて、先に江戸へ帰って来た。
女房は熊一人に驚き、熊の今年大山講に行ったお上さんの全員召集の要望を受け入れ、全員が集まる。
「どうしたんだい?頭に手拭いなんぞ」「ちょいとね陽気の変わった所へ行ったもんで、悪寒がするんで」「今年位良い大山講(おやま)は何年来なかったんで皆喜んでね。大山講無事に済まして下りて来て、藤沢に一晩泊り、翌朝出掛けに、金沢八景見物して行こうとなり、金沢八景行って見物し、そのまンま帰(けえ)るのかと思ったら、誰かが『ちょいと足を伸ばそう、舟で横須賀上陸(あが)って、米ヶ浜のお祖師様(そしさま)をお詣りして帰ろうじゃねェか』って言い出し伊沢屋って舟宿から舟を出した」
GO!GO!!フロンターレ4月26日 |
|
|
|
GO!GO!!フロンターレ4月19日 |
|
4月26日