川崎市男女共同参画センター(すくらむ21)は6月29日、市内のシングルファーザーを対象に実施した生活実態調査の報告会を開催した。長時間労働や、情報交換のためのネットワークの少なさなど、仕事と子育ての両立へのさまざまな悩みや課題を報告した。
同センターは今年1〜3月にかけ、市内在住の20〜60代のシングルファーザー30人にインタビュー調査を実施。父子家庭の生活実態を調査し、ひとり親男性の生活的自立のための課題や必要な支援を明確にしようと、今年初めて実施した。
報告会には、中心になって調査を行ったお茶の水女子大学の戒能(かいのう)民江名誉教授らが出席。同調査に関心の高い市民約30人を前に、調査で浮かび上がったシングルファーザーの悩みや、父子家庭への支援の在り方などを伝えた。
調査の結果、仕事と育児の両立の課題として「ひとり親になったことで仕事上の役職を辞退した」「平日に学校や役所に行けるなどの融通が利くため、正社員よりパート契約を選ぶ傾向がある」「年収の低下傾向」など、正社員としての長時間労働や経済的困難などに悩む父親の実情が浮かび上がった。
また、シングルファーザーへの公的支援情報について認知している父親が少ないことも課題だ。子育てを支援する若者サポートステーション、学習支援、民間の相談先などの情報を知らない父親が少なくないという。聞き取り調査では、ひとり親男性同士の集まりへの参加について「自分も含めて男性はそういうところにあまり行かない。行ってもあまり話さない」などの回答が大半だった。
調査に協力した立教大学の湯澤直美教授は「シングルファーザーのライフワークバランスが保障されるべき。過労死者を減らすことにもつながると考えている」と強調した。
すくらむ21は、今回の調査結果をまとめた報告書を作成し、10月に発行を予定。冊子は同センター内や市内の図書館などに設置する。希望する自治体、施設などにも配布し「ひとり親家庭への支援に活用してほしい」としている。
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