昨年の台風19号による排水樋管周辺地域などの浸水被害について、川崎市は3回目の検証委員会を今月13日に実施。管内で河川が逆流したときは、水門ゲートを閉門にする方針を示した。新たな操作手順による効果を公開し、専門家や市民の意見を収集。最終結果をまとめて4月に公表し、住民説明会を開く予定だ。
昨年の台風19号では、高津区、中原区内5カ所の排水樋管から多摩川の逆流や、降雨による内水氾濫が起こり、排水樋管周辺地域は甚大な浸水被害を受けている。市によると「降雨がある、または降雨の恐れがある場合はゲートを全開にする」操作手順により、当時、排水樋管の水門ゲートは全て開けられていた。
市は、解析ソフトを使用し、当時の降水量や河川水位の条件で「ゲートを閉めた」ときの浸水シミュレーションを実施。
これによると、宇奈根排水樋管、山王排水樋管(中原区)周辺地域では、ゲートを閉めた場合、開けたときより浸水規模が小さくなる結果が出た。一方、二子排水樋管、諏訪排水樋管周辺地域では、水門ゲートを閉めたほうが、内水氾濫で浸水規模が大きくなる結果となった。また、宮内(中原区)排水樋管周辺の浸水規模は、ほぼ変わらなかった。
土砂被害に重点
山王排水樋管を除く4カ所では、ゲートを閉めた場合でも広範囲で浸水する結果を示した。市上下水道局は「降雨がある状況で、ゲート開閉の判断は非常に難しい」としながら、今回、排水樋管から河川逆流による土砂被害が発生したことから「管内に逆流が確認されるときは『ゲートを閉める』」操作手順に見直すとした。
ゲートを閉めることで発生する内水氾濫は、排水ポンプ車で対応する。市は今夏の台風時季までに取り組む短期対策に、排水ポンプ車の導入や各排水樋管に水の流れを計測する流向計や水位計設置を盛り込む。
新たな操作手順と排水ポンプ車による効果検証では、浸水規模は小さくなるものの「大幅な軽減とは言い難い」結果を示す。市は「引き続き、中長期対策による検討を進めていく」としている。
市は、検証結果をまとめた資料をホームページなどで公開。国土交通省国土技術政策総合研究所など第三者や市民の意見を収集し、4月上旬に最終結果を報告する。市民意見は3月27日(金)まで募集している。
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