多摩区・麻生区 人物風土記
公開日:2019.09.13
「菅獅子舞保存会」の会長を今年から務める
金子 敦さん
菅馬場在住 57歳
使命胸に、「舞」後世へ
○…薬師様の命日である9月12日に近い日曜日、薬師堂で勇壮な舞を魅せる「菅の獅子舞」。3頭の獅子を先導する天狗役に任命された17歳のときから、40年間携わり続ける。長く保存会をけん引してきた前会長の思いを継ぎ、会の代表に。「菅の人たちが守ってきた大事な宝。文化を守り理解してもらうためにも、次の代へ厳しく伝えていきたい」と語気を強める。
○…今年は獅子舞やるらしいよ―。子どものころはそんな噂が回った。「開催は数年に一度だった。小学生のとき見たのが最後」。当時は舞子の後継者がおらず、消滅の危機。そんな中、奉賛会や町会らが「若い地元の長男」を抜擢。その一人に選ばれた。それから15年、激しい踊りと暑さで気絶したこともあったが、責任ある役を毎年最後までやり切った。代替わり後は指導一筋20年以上。「17歳のとき、最後まで菅の獅子舞を守る人間として選ばれたんだろうな」と、若き日を振り返る。
○…東菅小と中野島中、百合丘高の出身。10代から波乗りに目覚めプロを夢見たが、父親が営む建築業の後継ぎとして断念。20代半ばからはスノーボードにも傾倒。アマチュアでは3度も全国の表彰台に立ち、五輪にも携わるようになった。しかし6年前、不慮の事故で右脚が人工関節に。「突然の障害。自分にできることは何か」。同時期に声がかり、パラリンピック選手のコーチに。以来、思いを指導に込め続ける。
○…薬師堂だけではなく、市の民俗芸能発表会や地元小学校での授業にも出向いて伝統文化の普及に努める。最近では、他地区の獅子舞も見に行くように。「積極的に外に出て交流したい。真似をするわけではない。先代の文化は変えてはいけないし、進化してもいけない」。刻み込まれた伝統を、一歩ずつ後世に伝える。
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