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多摩区・麻生区 人物風土記

公開日:2024.07.19

ラゾーナ川崎で7月20日に日本の伝統楽器によるコンサートを行う三味線奏者の
本條 秀慈郎さん(本名:鮎沢京吾)
多摩区在住 39歳

三味線で広げる可能性

 ○…川崎市に移り住み約10年。多ジャンルの音楽を柔軟に楽しむまちの姿勢にポテンシャルを感じていたことから、市内で初めてコンサートを企画した。多世代を対象に、三味線をはじめとした日本古来の伝統楽器で音を紡ぐ。当日に向け和楽器の本質を伝えられる曲を多数用意した。「小手先ではないものを楽しんでもらい聞くという土壌を育てたい」。川崎に住んでいる「特権」のような演奏会を目指したいと、力を込める。

 ○…ピアノ、エレキギターにチューバ。多様な楽器に挑戦したが、思うようにいかないことも多かった。そんな中出会ったのが師匠・本條秀太郎の三味線。一音聞いただけで感じた「オーケストラのような響き」は、自身にとって「革命」のようだった。以来、研鑽を積む中で文化庁文化交流使として世界に派遣されたことも。各国の作曲家から21もの新曲を提供された。「色々な音楽を広く楽しんでるうちに三味線に出合い面白いことができている。挫折はラッキーだったのかも」と過去に思いを馳せる。

 ○…多忙な日々の中、刺激となっているのが2人の我が子の存在。三味線に興味を持ち始めている愛娘の姿に「一番良い音を出す。親バカかも」と頬を緩める。「ちょっとだけ一緒にいてあげて、あとは親の一生懸命な姿を見せれば子どもは育つ」。そんな言葉を指針に、成長を待ち望む。

 ○…名だたる音楽家、落語家にダンサー。芸術の垣根を越え、人との出会いによって起こる変化を楽しんできた。今後夢に描くのは、和歌や俳句など、言葉を伴った演奏会の開催だ。「共に新しいジャンルを広げていきたい」。その思いを胸に、妥協せず互いの持ち味を掛け合わせていく。三味線を武器に新たな表現の可能性を模索する。

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