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多摩区・麻生区 意見広告

公開日:2025.07.11

連載121
移動手段の選択肢を広げる環境整備を
みらい川崎市議会議員団 こば りか子

 みなさんはシニアカーをご存知ですか。

 シニアカーは、一見バイクのようですが定義は車イスです。そのため移動の際は歩道を走り、店舗や電車等に乗車したまま乗り入れることも可能な乗り物です。交通不便地域といわれるエリアに居住する高齢者が運転免許証を返納した途端に引きこもりがちになり、結果的に介護認定に至る事例をいくつも耳にします。先般、「親にシニアカーを検討したい」と相談があり調べたところ、本市では介護認定者には介護保険サービスの福祉用具貸与の対象品目となっているため月額数千円程度で借りることができますが、介護認定を受けていない元気な高齢者への補助は何もないことが分かりました。他自治体ではシニアカー購入に際し、介護認定を受けていないことを条件に補助制度を設けているところもあります。また神戸市は、今年4月より「車イス」であることから除外されているシニアカーを駐輪場に停車できる取組みを試行的に実施しています。最近は、バスやタクシーの運転手不足が深刻化する一方、高齢化は加速度を増して進展していることから、本市においても高齢者の新たな移動手段として支援制度の導入を提案したところ、「高齢者が外出し、社会的活動に参加されることは、生きがいや健康づくり、介護予防等の観点から重要と考え高齢者の外出支援のあり方について検討していく」とのことでした。

 本市の北部地域はバス路線網が貧弱なうえ、山を切崩し開発された傾斜のある地域に住宅街が広がる立地が多く、運転免許を返納した結果、外出が困難になる方、タクシー代が負担になりながら止むを得ず利用せざるを得ない方等が大変多く居住しています。また、そうした事情も影響し、80代90代になっても免許返納をしない方も多く、ご家族の中には高齢の親が車で外出することを止められず、高齢ドライバーによる事故のニュースを目にする度に「次は自分の親が加害者になるかもしれない」という不安を抱えているという声も本当に多く耳にします。

 川崎市では、コミュニティ交通やオンデマンド交通による実験を行っているものの、結局試行で終わるばかりで実現せず、コミュニティ交通等にかける予算を見ても「本気でやる気があるのか?」と声を大にして言いたい気持ちです。

 令和4年川崎市高齢者実態調査では「長寿日本一になった麻生区で『15分程度なら歩ける』と答える65歳以上の方が約9割を占めるなど、日頃から健康に気をつけている方が多く居住している」と報告していますが、年齢を重ねれば重ねるほど徒歩で坂道を上り下りすることが「苦行」になっているのが実情です。交通不便地域に居住していても、若い頃のように行きたい時に、自力で、行きたい場所に行ける手段の確保策としてシニアカーも選択肢になるよう、環境を整えることは市の責務と考えます。「鶏と卵」の議論ではありませんが、「シニアカーが普及していないから何もしない」ではなく、「シニアカーも選択肢になるよう、環境を整える」ことに目を向け、介護認定を受けずに頑張っている「元気な高齢者にも優しいまち 川崎」を目指していただきたいものです。

みらい川崎市議会議員団 木庭理香子

TEL:044-299-7360

http://www.koba-rikako.com

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