多摩区・麻生区 人物風土記
公開日:2025.08.01
多摩区医師会の会長に就任した
櫛笥(くしげ) 永晴さん
多摩区在勤 49歳
地域で歩む医の道
○...「かっこいいことは何も言えないが、楽しくやっている」。役員としても10年を超え、前会長から直々に声をかけられ、推薦を受けて会員154人を束ねる立場に。電子カルテを始めとするDX化や感染症、災害対策を柱に会員同士の連携を図る。開業医の平均年齢は60歳を超えるなか、若い医師の加入も増加。「顔の見える関係性を深め、医師会を通じて仲間意識を高められたら」
○...工学系の大学に通う3年のある日、突然「降りてきた」という医学の道。再受験を決意し横浜市立大学に入学後、勉強会で知った「家庭医」の趣旨に共感し、志すようになった。「地域で体の心配事を最初に相談できる専門医。家庭医療に携わりたかった」。川崎市立多摩病院で研鑽を積み、診療所で働きたいとの思いから30代で開業。学生時代に知り合い、志を共にする妻と、多摩区長尾で「かえでファミリークリニック」を営み、日々患者を支えている。
○...「かえで」の名には、若葉から紅葉するさまを子どもからお年寄りになぞらえ、家庭医として地域住民に寄り添う思いを込めた。クリニックでは初めての予防接種から年配者の往診まで幅広く手がける。100歳を超えた女性を自宅で看取った日のことは忘れない。「名前に『晴』の字が入ったおばあちゃん。娘さんが見守るなか、すごく晴れた日の大往生だった」。いい旅立ちだったと語り合える温かい時間。生にも死にも深く向き合うのが使命だ。
○...3人きょうだいの塾や習い事のスケジュール管理を一手に担う妻に「本当に感謝」としみじみ。目下の懸念は、会長職就任に伴う妻の家事負担の増加と高校生になった娘の進路。「向き合わないとね」と父親の表情をみせた。
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