川崎市内をはじめ、各地でヘイトクライムが相次ぐ中、人権問題に取り組む研究者や弁護士などでつくる「外国人人権法連絡会」(田中宏一橋大学名誉教授、丹羽雅雄弁護士共同代表)とヘイトクライム被害者の崔江以子(チェカンイヂャ)川崎市ふれあい館館長らは4月28日、古川禎久法務大臣を訪問。国としての対策を求めるよう緊急要望した。
求めたのは▽政府内に担当部署を設置▽政府によるヘイトクライムからの防衛、被害に対する金銭的補助、医療等支援▽加害者の再犯防止のための研修プログラムの作成と受講の制度化-など12項目。
要望書では、実際に発生したヘイトクライムとして、川崎区桜本の川崎市ふれあい館に対する在日コリアン虐殺宣言や爆破予告などの脅迫書が届いたことや京都府ウトロのコリアン集住地区での連続放火事件、ロシア料理店に対する大量の脅迫ツイートなどを挙げた。その上で「ヘイトスピーチとヘイトクライムの連鎖により、差別と暴力がまん延している待ったなしの状況」とした。
ヘイトクライムは、人種や宗教など、特定の属性を理由とする差別的動機に基づく犯罪。人種差別撤廃条約により、日本も国際法上ヘイトクライム対策に取り組む義務があるという。
古川大臣と面会した崔さんは5月9日、本紙の取材に対し「被害の実態を直接聞いてくれた上、ヘイトクライムは絶対に許されない、要望を受け止め議論を始めていくべき、との発言は心強かった」と喜んだ。
要望に同席した師岡康子弁護士によると「へイトクライムはほとんどの国で特別の犯罪として重く処罰するなど対策を取っている。アメリカでは日本人、日系人を含むアジア系の人々へのヘイトクライムが増加しているが、大統領がヘイトクライムの被害者のコミュニティーを訪問し、ヘイトクライムに対し沈黙することは加担することになると発言している」と指摘。「日本では川崎市が深刻なヘイトスピーチの一部を犯罪とする条例を制定し、福田市長はヘイトクライムを批判するなど先進的な取り組みをしているが、日本社会全体の問題であり、根絶するためには国が先頭に立って具体的な対策をとるべきだ」と強調した。
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