川崎区・幸区 社会
公開日:2025.08.01
川崎の在日コリアン史
初の通史出版
市民団体メンバーが執筆
川崎の在日コリアンの移住から現在に至るまでの歴史をまとめた『川崎 在日コリアンの歴史ー共に生きるまちを築いた人びと』(緑風出版)が出版された。市民団体「川崎在日コリアン生活・文化・歴史研究会」のメンバーが執筆。山田貴夫代表は「川崎の中で在日が差別社会を助け合いながら頑張ってきた歴史や二世、三世が反差別、人権活動を日本人と共に担ってきたことなどを書き残した一冊」と強調する。
A5判219ページ、全4章で構成されている。各章の最初に設けられた概要では、在日全般が抱えていた問題について説明。その後の各節で川崎の出来事を紹介し、田島町、新田神社における朝鮮人保護収容、ドブロクを巡る川崎事件、戦後の池上町の変遷、日立就職差別裁判闘争、ふれあい館の設立などについて取り上げている。
山田さんによると、これまでさまざまな研究者が川崎の在日コリアンについての論文を書いているものの、特定の時期や課題に絞られ、通史的に取り上げられたものがなかったと指摘。同書の出版の意義については「郷土史の中身を豊かにすることにもつながる」と語る。在日コリアンの地域通史は、大阪や兵庫に続くものとみられる。
表紙カバーは、さくら小学校運動会で披露されるプンムルノリの演技の様子のイラストが描かれている。山田さんは「在日だけでなく日本人、ベトナム、ブラジル、中国、フィリピンの子が楽しみながら演技している。ここに多文化社会をつくるヒントがある」とも力を込めた。
主要書店やネットなどで販売。価格は2700円税別。
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