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川崎区・幸区 文化

公開日:2025.11.26

「工場絵」の半澤真人さん
大阪万博に2作品展示
川崎の風景「近未来的に」

  • (上)大阪万博に展示された自作と半澤さん(セルプきたかせ提供)(下)セルプきたかせで熊の絵を描く半澤さん

  • 施設で保管する半澤さんの作品

 川崎のパラアーティストである半澤真人さん(49歳、中原区)が描いた川崎の「工場絵」が、今年開催された大阪・関西万博の会場で10月9日〜11日の3日間、展示された。半澤さんがペンで命を吹き込んだ作品「工場」を通し、万博の来場者に向けて川崎の「風景」を発信した。

 知的障がいのある半藤さんは、絵を描くのが大好きな子どもだった。特別支援学校時代から絵画教室に通い始め、2008年から通所する生活介護事業所「セルプきたかせ」(幸区)では、当時この事業所で絵画講師を務めていた大平暁さん(現「studio FLAT」代表)の指導のもと、本格的な絵画制作に打ち込み始めた。

母「これを見て」

 当初は様々なキャラクターを描いていたが、半藤さんの母親が「これを見て欲しい」と、自宅で書き溜めた絵を持参した。車や家族の写真の模写だったが、ち密でありながらも自由な筆致は独創性にあふれていた。感銘を受けた大平さんが伴走し、半澤さんの「工場絵」の世界観が完成。創作活動の様子が、NHKのアート番組で紹介されたこともある。

 大阪万博で展示されたのは13年と14年の「工場」2作品で、いずれも川崎の工場写真をもとに、ペンや色鉛筆で躍動感たっぷりに描き込んだ。滋賀県近江八幡市にある美術館「ボーダレス・アートミュージアムNO―MA」が主催する企画展「アヴァンギャルドですが、なにか」の参加アーティストの一人として紹介された。現在は同美術館に凱旋し、2026年1月12日(月)まで展示されている。

笑顔で一心に描く 

 半澤さんは日常的に通う施設「セルプきたかせ」でも、週1回の絵画の時間を楽しみにしている。10月下旬、記者が施設を訪ねると、動物図鑑を見つつ熊の絵を描いていた。ニコニコと笑顔をうかべ、一心に集中している。笑みを絶やさないのは、幼いころから両親が「何でも楽しみなさい」と伝えてきたからだそうだ。担当の境田渚さんも「特に絵を描くときはニコニコしている」と感心する。

 「FLAT」の大平さんが、半澤さんの作品の魅力をこう解説してくれた。「川崎の工場地帯の風景を再構築し、近未来的な輝かしい構造物として描き出している。細かな表現が重なり合う、完成度の高い作品。とても魅力ある作品2点を万博の会場で世界に発信できたことは、大変意義あることだと思う」

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