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さがみはら中央区 スポーツ

公開日:2025.08.28

SC相模原
躍進と苦戦、クラブの未来
シーズン終盤へ 西谷社長インタビュー

  • SC相模原の西谷義久社長

 サッカーJ3・SC相模原は今シーズン、優勝とJ2昇格を目標に掲げて挑んだものの、14試合を残して20チーム中13位(8月25日時点)と苦境に立たされている。一方で天皇杯ではJ1、J2のクラブから次々に白星を挙げ、クラブ初の準々決勝進出(ベスト8)という快挙を達成(同日時点)。ピッチ外では、クラブが6月にJリーグに提出した海老名市内でのスタジアム整備計画が市内外で話題を呼んだ。ファン・サポーターや地元企業、各ホームタウン市民の間ではさまざまな見方があるが、クラブのトップはチームの現状をどう捉え、クラブの未来をどのように描いているのか。西谷義久社長に話を聞いた。(8月20日取材)

「本来は力がある」

――天皇杯での快挙

 「前々回のチャンピオンである川崎フロンターレに勝つなど、いわゆる格上に結果4連勝した。コロナ期間を除くとJ3クラブ史上初のベスト8。そういう意味では大きな躍進、クラブの価値を高めるようなチームとしてのパフォーマンスを発揮してくれた。それによって応援してくださっている人、ホームタウンにゆかりのある人たちが誇りに思ってくれたことは、我々が望んで目指してきた姿に近づいていると感じている」

――結果が出ている要因

 「本来はそれなりに力があるということかなと思っている。細かいところでは、先制されず拮抗した状態になればトーナメントはPKになる。そうなれば良いキーパーもいるので、なんとか勝てるかもしれないというのはあった。タフな守備、先手を取られず我慢して戦う、チャンスをものにする――そういうことが天皇杯で勝つことで着実にできてきている感じはある」

 ――それがリーグ戦ではできていない

 「本来天皇杯でできている展開をリーグでも徹底してやっていくことで欲しい結果が出てくるのだと思うが、それができず安定した戦いができていない。データを見ても、上位クラブと比較すると見劣りしている。シーズン開始当初に定めた『ここをクリアできれば昇格できる』という水準に対しても、大半の項目はクリアできていない。サッカーは戦術や相手があることで、わかっていてもできないというのが難しいところ。

 徹底してタフに守ってそこからスピード感を持って前に出ていけるチームが上位に来ている。それが今のJ3だということは当初からわかっていた。本来は天皇杯のような躍進をリーグ戦でも期待していたし、それができるチームだと思っているが、できていないのが事実。

 そうはいってもクラブは続いていく。ここから今年巻き返していく、という意味でも、その先を見据えてという意味でも、ジュニアユース出身の中山陸選手を獲得した。クラブとしてはこれからの顔として活躍を期待したい選手。彼がチームを引っ張っててくれるといいなと思っている」

「地域をよくするため」

――地域との関わりについて

 「地域の社会課題解決に向けた社会連携活動『ジモトアイプロジェクト』を始めて3年目。より一層活動の幅や深さ、関わっている人の数が増えて、クラブとして力を入れて取り組んでいることが形になってきている。プロジェクトをきっかけにパートナー企業になってくださる企業も増え、反響も大きい。地域をよくするために必要なことに、企業と一緒に取り組むことで、貢献できている実感、手応えはある。

 来年以降についても今協議しているところ。今ある活動をより良く見直す事だけでなく、新しい構想もある。SC相模原は地域の中でハブになれる存在だと思うので、いろいろなつながりを活用しながらできることを続けていきたい」

「『できてよかった』と思ってもらえるスタジアムを」

――J2ライセンスの交付申請にあたり海老名市内でのスタジアム整備を発表。大きな話題に

 「(当初スタジアム整備を目指していた相模原駅北口の相模総合補給廠一部返還地は)地元の人たちにとって、新しいまちのシンボルとなるようなまちづくり、アイデンティティを感じられるようなインパクトのあるものが期待されている場所だと思っていた。自分たちとしては、今はまだまだだが、スタジアムができる頃までにそれにふさわしい存在になりたいと思って、最初から最優先で何年も取り組んできた。そこでやりたかったのはみなさんと同じ気持ち。そこは残念だったが、相模原市が相模原市の未来を考えて決めたこと。それは尊重されるべきで、市民が選んだリーダーが決めたことだと受け止めている。

 一方で、ホームタウンは相模原市だけではない。大事なのは、より臨場感を持って非日常を味わいやすい観戦環境、アクセスの良さ、周辺のまちづくりの発展も含めて期待できる場所であること。そこには経済的な合理性も必要。

 クラブとしても、今のままで良いということではなかった。(現在ホームスタジアムとしている)相模原ギオンスタジアムのアクセスや駐車場の問題、陸上トラックがありピッチと観客席の距離があることや周辺環境といった状況からすると、変わっていくことを望んでいた。その中で、(ライセンス交付申請期限が迫っていて)本当にギリギリだったが、ありがたいことにホームタウンの中であまり離れずに計画できる場所があったということはありがたく、幸運なことだった。

 発表の反響は想定よりも大きかった。今はいろいろな感情があるかもしれない。でも、実現できたらみんなが『ここにスタジアムができてよかった』と思えるものになると思う。そういう場所を作れる自信はあるし、そう思ってもらいたいなと思っている。実現しないとJリーグの中で生き残れないので、あとはそこに向けてやるしかない」

練習場整備「重要」

――より良い練習環境という点で、天然芝の練習場整備に向けて現状は

 「実現に向けたハードルはまだあるが、具体的に費用面や時期も含めて手を尽くしている段階。タフなトレーニングができる練習環境の整備はスタジアム以上に重要な、クラブを前に進めるために必要なこと。目先の結果は大事だが、その結果のためにも必要。しっかりと課題認識を持って取り組んでいる」

――市民に向けてメッセージを

 「まずはプレーオフ進出に辿り着けるように巻き返したい。そのためにホームタウンの皆さんからのスタジアムでの後押しが一番選手の力になることは間違いないので、ぜひ足を運んで力を貸していただきたい」

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