遣唐使が日本にもたらしたとされる模本(写し)がこのほど新たに発見され、改めて注目を集めている、中国の書家・王羲之(303〜361年推定)。上野の東京国立博物館では現在、この偉人に関する特別展が開催されており、会場は連日、多くの人出で賑わいを見せているという(〜3/3(日)、毎日新聞社など主催)。
ここ相模原でも、王羲之の書に尊敬を寄せる人物がいる。谷口台小前で印章店を営むかたわら、書道教室を開いている、(有)秀美堂(しゅうびどう)(南区相模大野)の吉岡祖法(そほう)さん(72)=写真=は、この4世紀の先人の書を一つの範とし、尊んで来た書道団体・鳴鶴流天溪会(めいかくりゅうてんけいかい)で師範を務めている。「この発見には感動しました」と、新しい資料の出現に胸を躍らせている。
従来の書法を飛躍的に高めた功績から”書聖”と称される、書道史における最大の巨人・王羲之。その書は中国の皇帝に愛され、宮廷では彼の書を精巧に模写する作業が行われていた。今回発見された模本「大報帖(たいほうじょう)」もそうしたものの一つと考えられており、王羲之の筆使いを伝える、数少ない重要な資料となっている。音楽の世界で例えるなら、ベートーヴェンの未発表曲が発見されたようなもの。なお、本人の肉筆は現存していない。
超えがたき書
今回の発見を受け、岡さんの周囲には「書について講演してもらえないか」「私も習ってみたい」という人も現れた。「古来から数多(あまた)の書家が手本とし、羲之の存在の大きさは千数百年たった今も変わらない。ただ今日もなお、どんな書家も超えられない存在ですけどね」と、笑顔を見せていた。
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