鳥屋の地震峠に4コマの案内板が5月28日に設置された。この案内板は自然災害伝承碑「地震峠」を守る会が企画し、県立津久井高校の漫画研究部の部員とOBが制作したもの。制作に携わった生徒は「絵を見て当時がどんな様子だったのか想像してもらえたら」と話す。
鳥屋地域は、1923年の関東大震災による土砂災害で16人が亡くなった。地域では「二度と被害を起こさぬように」と、遺族や地域住民らが伝承活動に努めている。
今回の案内板制作のきっかけは地域住民の声。「説明板はあるけれども、詳しく4コマ漫画みたいなものがあると分かりやすい」という話があり、同会が高校生に制作を依頼した。同校の漫画研究部は、2年前に地震峠に関する漫画を制作しており、その時の縁で再び企画に関わることになった。昨夏に依頼を受けた生徒は現地に足を運び、同会に話を聞くなど、地震峠の理解を深め制作に取り掛かった。
完成した案内板は幅1・3m、天地1m。4コマは、【1】山津波で土砂に人が流されているところ、【2】周辺地域から人が集まり救助活動をしている様子、【3】被害から唯一生き残った人が回想する場面、【4】現在の地震峠で親子が笑顔で触れ合うシーンで構成される。完成した案内板について同会の秋本敏明さんは「子どもたちの思いが4つの絵になり、思っていた以上の仕上がりになった」と感心する。
「考えてほしい」
制作に関わったOBの小林美月さんは、「自然の中に案内板が設置され、色鮮やかで雰囲気がにぎやかになった。色を作るのが大変で、特に1コマ目は山津波に流されている様子を表現したので、見る人によってはショックを受けるかもしれない。史実に基づいて描いたので怖さを感じてほしい」と説明する。
同じくOBの森百合香さんは「自分たちで考えた構成や文章が公共物になってうれしい。当時から100年以上が経っていて、見ていないものを想像したり、時代背景などを調べて表現するのは大変だった。100年前に地形が変わるほどの被害があったということを4コマを通して知ってもらえれば」と話す。
同校漫画研究部の部員は「これだけのものを4コマに収められるのか構成がとても難しかった。前半は絶望や緊張感を感じても、後半は笑っていたり明るいシーンになっている。今、私たちが笑っていられるのはなぜなのかをぜひ見る人に考えてほしい」と問いを投げ掛ける。
なお、現地に見学の際は馬石自治会館(鳥屋93)のスペースを臨時駐車場として使用できる。
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