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八王子 社会

公開日:2025.08.14

八王子市遺族会
戦争の事実、向き合う場を
28日から戦没者遺品展

  • 富田さん(左)と馬場新会長

 戦後80年となる今年、結成70年の節目を迎える八王子市遺族会。戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えるため、「戦没者遺品展示会」を6年ぶりに開催する。8月28日(木)から31日(日)まで、JR八王子駅南口総合事務所の多目的スペース(サザンスカイタワー八王子4階)を会場に行われる。

 2019年の初開催から6年ぶり2回目の実施となる。前回は戦没者の遺族が保管していた戦地からのハガキや軍服、死亡通知書など200点以上が集まった。開催時には「毎年やってほしい」という声も寄せられたが、「それぞれの家庭で遺品を管理している方の協力がなければできないこと。保管場所も含めて継続開催はなかなか難しかった」と話すのは、長年会長を務めた富田喜代志さん(84)。

 今回、開催に踏み切ったのは、節目の年であることはもちろん、戦時中を知る会員がどんどん減り、残る遺族も戦没者から世代が遠ざかっていく中で「多くの若い人に知ってもらいたい」という強い思いからだ。

 今回も遺族会の会員に協力を呼びかけ、一つひとつ展示する遺品を集めている。遺品のほかにも、パネル展や八王子空襲のDVD上映、空襲体験者による語り部のビデオ上映も予定している。

会存続の意義

 八王子市遺族会は1955(昭和30)年に結成された。当時は約2000人いた会員も今では500人ほどに減少。近年では全国的にみても解散する遺族会も増えてきている。

 終戦直後は未亡人となった主婦たちが励まし合う場になっていたり、近年は追悼式を行ったりと時代ごとに役割を担ってきた遺族会。富田さんは「国や行政に意見や要望を提案する時に個人では限界がある。高齢化で仕方ない部分はあるが、会を存続させることの意義は大きい」と話す。

 今年、新会長に就任した馬場貴大さん(46)は自身の曽祖父がシベリア抑留で餓死したという戦没者遺族。「戦争の事実に向き合う機会を閉ざしたくない。弔意を表す動きを止めないことが大切。遺品展もその一つだと考えています」と馬場会長は話す。

 問い合わせは同会【電話】042・624・8760((水)と(木)の午前10時から午後4時まで受付)。

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