八王子 文化
公開日：2025.12.25
知ってる？
世界に一つだけの銅像
雲龍寺とスリランカの縁
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同寺を訪れた元大統領ら
八王子市山田町の雲龍寺（足利正尊住職）。ここに、母国スリランカにさえ存在しない「世界で唯一」の銅像＝写真＝が鎮座している。主は、スリランカのジャヤワルダナ元大統領だ。
第二次世界大戦直後のサンフランシスコ講和会議で、一部の国から「日本の分割統治」という案も浮上していた中、各国の代表に向かい「怨みは怨みによって止むことなく、慈悲によってのみ止む」と仏陀の言葉を引用し、日本の自由と独立を訴えた大統領。この演説と行動に強く感銘を受けた37世住職・故 足利正明氏が、スリランカを度々訪れるなど現地への支援を通じて交流を深め、１９８７年に敬意を込めて雲龍寺の境内に建立した。89年には本人の来寺も実現。「平和の鳩」を放って迎えた保育園児たちに、「世界平和は人と人が会って話すことが大事」と語りかけたという。その後、氏は96年に90歳で死去。「形に残るものを残さないように」と遺言しこの世を去ったため、母国にはお墓も銅像もないという。
生前の篤い信頼関係によって建てられたこの銅像。近年でも、本国から見学に訪れる人もいる。日本の窮地を救った慈悲の心と、国境を超えた友情の証として、今日も八王子の地で静かに佇んでいる。
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