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多摩 社会

公開日:2022.09.08

「カサンドラ」って?
講演会・主催者に聞く

  • 櫻田 万里発達障害の1つ、アスペルガー症候群(ASD)について考え、カサンドラのサポートにあたる団体「アスペルガー・アラウンド」の代表。カサンドラに関する著書あり。日本公認心理師協会会員。都立高教諭。

 多摩市在住の櫻田万里さんが10月にカサンドラ症候群に関する講演会を千代田区で開く。カサンドラ症候群とはパートナーや家族などが発達障害のためにスムーズなコミュニケーションを取ることができず、心身が不調に陥ってしまう状態のこと。夫の幸也さんも参加する講演会を前に櫻田さんに聞いた。

 ――なぜ、講演会を

 「カサンドラとなると結果、離婚や別居となることが多いなか、私たちのように復縁したケースがあることを知って、1つのヒントにしてもらいたいと考えています。それは発達障害への理解を深めることにもなりますし、障害や性別などの属性に関係なく、誰もが認めあう社会の推進にもつながると考えています。今回はカサンドラを支援している方などにも足を運んで頂けたらと思います」

 ――苦しんでいる人に伝えたいことは

 「まず、仲間がいることを知ってもらいたいですね。そして、仲間に勇気をもらって余力が出てきたら、発達障害について目を向けてもらいたい」

 ――自身はどう乗り越えた

 「私をカサンドラ状態から救ってくれたのは、ある保健師さんの存在です。カサンドラ状態は自分のもつ価値観や感情を否定され続けて、自己肯定感が下がり、喪失感に陥っている時があります。『あなたの感じていることは間違っていない』と肯定してもらう段階が必要なのです。行動を促すための助言が必要なのはもっと後になります。多様性社会を受け入れられずにいる日本の社会通念がカサンドラ回復の障壁になっていると10年間の活動の中で痛感しています」

10月2日開催

 櫻田さんが開く講演会は10月2日(日)、千代田区・JR飯田橋駅徒歩1分の東京ボランティア市民活動センターで開催される。

 カサンドラや発達障害について考える「カサンドラ&ASD勉強会」は午前10時から正午(9時30分開場)。午後1時25分から4時10分まで(開場は1時)は幸也さんも参加し、幸せなカサンドラ生活をテーマにする「SORAの夫婦講演会」を開く。

 共に事前申込制で、ぞれぞれ参加費は2千円。2つの講演会ともオンラインでの受講も可能で定員はそれぞれ、会場40人、オンラインは80人まで(会場は16歳以上が対象)。申し込み・問い合わせは櫻田さんが代表を務める団体「アスペルガー・アラウンド」のHP(http://asperger-around.blog.jp)から。

「私が変わればいい」幸也さん

 ――結婚生活28年のうち、カサンドラが理由で別居期間もあった

 「そう。妻の気持ちを共有できずにいた。そして別れを告げられた時、今後も一緒に暮らすには私が変わればいいのだと気づいた。それからは妻の気持ちを一つ一つ覚えてきたという感じ。暗記帳に書き込むようにね」

 ――同じように苦しむ夫婦に対しては

 「両者がその状態を自覚し、ぞれぞれが歩み寄る努力を重ねていくしかないと思う。そうすれば、私たちみたいに1つのきっかけで好転することもあるのではないかな」

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