海老名・座間・綾瀬 コラム
公開日:2019.07.05
海老名むかしばなし
第28話 まぼろしの梵鐘【2】(最終話)
さて、この梵鐘について、同寺の大久保是彰住職は子供のころから寿閑寺に「名鐘」があると聞いていたが、百年ほど前に行方不明になったと聞かされたという。地元の老人に聞いても、百年とも百五十年ともわからなかったと話される。
ところが、その後、梵鐘は伊勢原市の臨済宗大慈寺にあるのがわかり、同寺の好意で無事もどってきた。
寿閑寺では、よみがえった延宝年間(一六七三〜八〇)の鐘というので「蘇生延寿の鐘」と命名、一世紀ぶりに「ゴーン」「ゴーン」と長い余韻を残して野ずらを流れる。この美しい余韻は、この鐘に小判が溶かし込まれているからともいわれている。
いつ、どうして寿閑寺から大慈寺へ移ったかは両寺ともわからないが、昭和十七年(一九四二)、軍部に供出されたが、乃木将軍ゆかりの鐘として免除され無事だったこともわかった。
ともあれ古鐘は、推定百年余りで奇跡的な帰還をして後、現在も無事に同寺で「ゴーン」と鳴っている。
参考資料/海老名むかしばなし
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