海老名むかしばなし 第30話 あの世への竹づえ【2】(最終話)
関係者の心配はたいへんなものだった。村人たち総出で探しまわったが、行方がわからなかった。ポストがある家を順次尋ねもしたが依然不明。その日はとうとう探すのをあきらめざるをえなかった。
翌二十七日、懸命な捜索の結果、原川の土橋のクイにかかっている遺体を発見した。推測では遭難地点は門沢橋一九四番地先の原川にかかる小橋、致命的になったのは肩にかけた集配カバンに水が入ったのが仇をなし、重石の役をしてしまったらしいということであった。
その遺体を見るに左手で集配カバンをしっかと押え、右手はこれも竹づえをぐっと握りしめていた。職務を全うしようとするそのけなげな殉職の姿には一同強く胸を打たれ、しばらく声を発するものはなかったという。
佐藤青年は小学校在学中に父を失い、小学校卒業後すぐ局員となった。母親を大切にし、勤勉な彼は人びとから愛されていた。
本郷池端の稲荷坂の中ほどに木立に囲まれた高さ一メートルほどの碑がひっそりと立っているが、これは佐藤青年の顕彰碑である。
参考資料/えびなむかしばなし
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