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海老名・座間・綾瀬 コラム

公開日:2019.11.08

海老名むかしばなし
第34話 法塔様【2】

 それから後手に犯人をしばったまま大山街道を上郷と河原口の境の「おんぞう川」(耕地整理のため消失)のあたりまで送って行った。



 途中、犯人は新道や出口地内を通る時「どうぞお助けください。どうぞお助けください」と沿道の人たちに頭を下げて通って行ったという。



 いよいよ村境へ来た。犯人の縄目を解いてやり、「さあ許してやるから、どこへでも行け」と放してやると、犯人は深々と頭を下げ、一、二歩歩きだした瞬間、「ズドン!」と猟銃音が起こった。犯人が撃たれたのだ。



 「だましやがったな!」と言いながら犯人は一回転して、どうっとその場へ倒れてしまった。



 これはかねてからの手配どおりであった。上郷地区に”大釜”という沼があったがその向う岸の枯れた芦の中へ村の鉄砲打ち二人を先まわりさせておいて、犯人を追放した刹那、後ろから撃ち殺すことになっていたのだった。



 犯人は近くの村の神官の次男だったそうだ。なきがらは菰(酒樽にかぶせてあるものと同じようなもの)に包んで相模川へ投げ込んで一件は落着したかに見えた。



 ところが、この事件があってから国分地区には悪いことが次々と重なって起こった。中でも火事が頻々と起こる。一番の大火は明治四十三年(一九一〇)三月十八日、一民家から発した火が役場、駐在所、さらに飛び火して薬師院など一三戸がやけた火事だった。



参考資料/えびなむかしばなし

 

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