「手づくり文化展」で、故郷・浪江町の写真を展示する 佐藤 一(はじめ)さん 座間市相模が丘在住 80歳
故郷の記憶つなぎたい
○…趣味や特技を発表する文化展で、「10年目の福島」をテーマに写真を展示する。福島には震災以降何度も足を運び、その変化を記録に収めてきた。「かつての美しい田園風景が、真っ黒なソーラーパネルが並ぶメガソーラーの場所になった。再生可能エネルギーに期待していながらも、この変化をみると切なくなる」と複雑な心境を明かす。
○…2013年、震災後はじめて実家に戻った。除染が進まず、立ち入りには許可証が必要だった。家の中は物が散乱して床が見えないほど。「猪や泥棒が入ったようだった。涙が止まらなかった」と当時を思い返して目頭を押さえる。故郷の自慢だった桜は無情にもきれいに咲いていた。あれから今も、親戚は誰も浪江には戻っていない。「もう実家もついに床が抜けた。確実に年月は過ぎている」
○…両親ともに福島県出身。生後10日目に父は出征して命を落とし、母と二人で戦後を生き抜いた。家の近くを流れる請戸川が遊び場で、夏休みには海に泳ぎに行く活発な少年だった。高校卒業後はカメラマンを夢見て上京し農業雑誌の映画部に就職。全国各地の農作業を収めた。その後はフリーとしてCMや「ウルトラセブン」の撮影を担当。札幌のテレビ局と契約し青函トンネルの工事も記録した。
○…フリーに限界を感じ、35歳でカメラ部品製造会社の営業職に転身。加工の工程を考え、図面起こしまで行った。「未練があってやめたことを思い出すのが辛く、趣味のカメラは意識的に遠ざけていた」。定年退職後にスチールカメラを手にすると奥深さにどっぷり。「一枚で人を感動させるのは大変で面白い。やっぱりカメラが好きなんですね」。家族は妻と、娘3人、孫9人。
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