レンガの壁紙、ステンドグラス調の出窓やのれんが昭和や大正のレトロ感を彷彿とさせる―。県立伊志田高校(広瀬邦彦校長)の芸術・素描を選択する3年生が「クライアントのいるデザイン」をテーマに近隣の飲食店と学習塾の外観などをプロデュースし、このほど完成に至った。
地域の商業施設と関わるデザインプロジェクトは同校の黒瀬佳代子教諭の発案で2021年度からスタートした。正門から徒歩1分ほどの場所にオープンしたカフェ兼居酒屋「ぽこぽこ」に外装やプロモーションの提案をしたいと申し出たところ店主が快諾、授業の一環としてプロジェクトが始まった。1年目は外壁のデザインやのれんの制作、2年目には継続して同店のプロデュースを行うと同時に、隣の学習塾「ペンシルゼミナール」でも同様のプロモーションを実施。翌年も継続して行われ、今年で4回目となる。
4月からスタートした今回のプロジェクトには11人の生徒が参加。授業は制作も含めて全20時間ほどで、外壁・プロモーション案やプレゼンの準備、個人案などをもとに話し合いを重ね、プレゼンを実施した。提案の中では現状の問題点の分析やコンセプト、期待される効果や費用、完成時のビジュアルなどが盛り込まれた。
方向性が決まると、制作材料を調べて購入、夏休み明けから具体的な作業に突入した。外壁にはレンガの壁紙、ステンドグラス調のシールやキットパスを用いた窓ガラスのデザイン、のれんやのぼり旗の作成などが行われた。壁紙を貼る作業では微妙なズレの修正に苦慮する様子も見られたが、約半年間にわたるプロジェクトは無事に完結した。
プロジェクトに参加した生徒たちからは「デザインを考えて形にすることの難しさを体感した」「普通は大学で経験する産学連携のような取り組みをいち早く行えて楽しかった」などの感想が聞かれた。
黒瀬教諭は「今回で4回目のリニューアル。毎年新たなアイデアが生まれることに、私も先生方も驚かされる。計画通りにいかないことも多いが、そこからどう修正して実現させるかを生徒は試行錯誤し、多くのことを学んでいると感じる。ぜひ地域の方々に見てもらいたい」と語った。
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