手作りの太鼓奏でる 綾西 横内可岳(よしたか)さん
盆踊りなど夏には大活躍の太鼓。綾西在住の横内可岳さん(77歳)は見よう見まねで作った自家製太鼓を自宅で楽しむ。
横内さんが太鼓を始めたのは13年ほど前。それまでは他所から演奏者を招いていた盆踊りの太鼓を、地域住民で叩こうと自治会内の有志で「綾西太鼓クラブ」が立ち上がった時に初めてバチを握った。叩いてみれば奥の深い太鼓。楽しむうちに「自分で太鼓を作れないか」と思うようになった。
8角形の胴部をイメージし、ホームセンターでパイン集成材を購入し、学生時代以来となる三角関数を使って板をカットする角度を算出。釘などを一切使わずボンドで接着固定した。書き出したメモには数式や実際にカットした際のサイズなどがびっしり並ぶ。
シルバー人材センターで襖や障子の張替えなどを行う横内さん。太鼓の面の部分は厚手のファイバー紙に襖紙と障子紙の端材が裏打ちしてある。「太鼓用の皮は高価だし、ほぼ市販されていない。お店で丈夫な素材を探してこれにたどり着きました」と話す。偏りなくぴんと張る方法には頭を悩まされたが「秘密のワザ」があるという。試行錯誤を重ね、10年前、本物にも劣らぬ響きある音を奏でる太鼓が完成した。
自家製太鼓は自宅用だが、横内さんは地元の祭りなどで年8回ほど演奏している。「太鼓は子どもからお年寄りまでみんなで楽しめるから良い」と話す。