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綾瀬 コラム

公開日:2017.04.07

Histry of あやせ名産品会 短期連載企画 Vol.5(最終回)
地元商店として歩んだ半世紀
―(有)矢部商店―

  • かつての店舗

  • 地酒「あやせ本醸造」

 矢部商店の開業は戦前の頃。4代目店主・矢部貴洋さんの曽祖父母である長五郎さん・ヒロさん夫妻が現在の地(小園)に開業した。



 昔を知る家族の話によるとまだ店が少なかった時代、このエリアは宿や肉店、畳店などが集まる場所だったという。同店は当時「専売品」となっていたタバコや塩などをはじめ、生活雑貨を取り扱っていたそうだ。



 法人化したのは、先々代の時代である1957年(昭和32年)。その後、米や酒販、灯油の免許を取るなど地域の要望に合わせ取り扱う品を増やしていった。



 しかし時代は変わり、状況は一変する。中でも品数豊富で24時間営業のコンビニの台頭は、大きな影響を受けた。



 そこで矢部商店ではコンビニとの差別化を図るため、オリジナル商品の開発に挑戦する。市の花であるバラにちなみローズワインやバラの発泡酒、バラの酢などを過去につくっている。



 試行錯誤の中で「地酒がない綾瀬に、地元のお酒を造りたい」と、貴洋さんが新商品開発に着手した。志澤勝あやせ名産品会長から市内米農家の紹介を受け、原料である「五百万石」の生産を依頼。秦野の地酒を造る金井酒造に醸造を頼み、丹沢山系の水を使ったスッキリ辛口の日本酒「あやせ本醸造」が誕生した。



 完成後、名産品会と共に姉妹都市にPRに赴くなど精力的に活動し、2007年に名産品に認定される。現在は醸造過程でできる酒粕や、これと市内パン店とのコラボ商品「あやせ本醸造あんぱん」、本醸造と市内産の梅を使い新たな名産品入りを目指す「あやせ梅酒」など、幅を広げている。



 法人化から約半世紀。「ここまで続けてこられたのは地域の方々のおかげ」と、感謝の念を滲ませる。

 

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