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綾瀬 コラム

公開日:2019.11.01

連載
路線バスっておもしろい!
第18回 「だろう運転」の怖さ路線バス運転士 坂井昭彦

 バスの運転士になってある程度の期間(半年から1年くらい)になると、自分が少し運転が上手くなったような錯覚と慣れがでてきて、事故やミスを起こす運転士が比較的多く見られます。



 このくらいの道幅ならバスが通れるだろうとか、あの車は止まってくれるだろうとか、あのバス停から少し離れたところにいる人はバスに乗らないだろうという思い込みが比較的強く出てきがちです。実際、この時期に私も少し慣れてきて運転が上手くなったような錯覚をおこし、事故やミスを起こしてしまいました。



 交差点で右折車のトラックの左側を直進して通り抜けようとした時、このぐらいの幅なら通り抜けられるだろうと思い込み、トラックの横を通過したところ、トラックのミラーと私のバスのミラーが接触してしまいました。このように怖いのは行けるだろうとか、大丈夫だろうという判断が魔物で、行けないかもしれない、無理かもしれないという「かもしれない運転」をすることが大切だと思います。



 脇から車や人が出てこないだろうではなく、出てくるかもしれないとか前を走っている車が急に止まるかもしれないといったように・・・。



 そうすると、おのずと人や車の多いところでは、いつもより減速や徐行をして走り、充分な車間距離を空けて走るようになると思います。だろう運転の怖さを知っている運転士は、かもしれない運転を実施することによって事故を減らしていると思います。車を運転する人は、このことをぜひ参考にして下さい。



 運転がうまいから無事故ではなく、かもしれない運転で常に危険を予知しながら慎重に運転することが、バスの運転士にとって大切なことだと思います。私は身をもってこのことを体験し、今では自分なりに、かもしれない運転を実施して安全運転に努めています。「だろう運転」ではなく「かもしれない運転」で。なんて、ちょっと偉そうに書き過ぎちゃったかな?

 

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