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「口腔衛生センター」移転で連携強化 横須賀市×歯科医師会の取り組み
今年8月、横須賀市歯科医師会が運営する「横須賀口腔衛生センター」が西逸見町のウェルシティ市民プラザに移転した。旧施設の老朽化に伴うもので、同センターは口腔ケアの予防啓発や障害者歯科診療・休日急患歯科診療など市の歯科衛生の拠点となる場所。センターでの取り組みや近年話題になっている「口腔と全身の健康」の関連性、オーラルフレイル予防について、歯科医師会の松本好史会長と横須賀市の上地克明市長に語ってもらった。
「オーラルフレイル予防」で健康増進
――日の出町の旧施設からからウェルシティへ移転し、稼働開始から4カ月経ちました。利用者の反応はどうですか。
松本会長 耐震や雨漏りなど、旧施設の老朽化は長年の懸案事項でした。市長をはじめ市担当課の方々に尽力いただき、素晴らしい場所に開設できました。移転事業の中でいちばん心配していたのが、障害者歯科診療です。週2回実施しているものですが、今まで通っていた方が新しい環境ですぐに慣れるのか気がかりでした。今のところスムーズに進んでおり、ほっとしています。
――市長にお尋ねします。ウェルシティの2階に入った意義は。
上地市長 ウェルシティは横須賀市の健康行政の本丸です。市民サービスの向上という意味でも、この場所に移転したことで、今までよりもさらに協力体制が強まると思います。私自身も日々、口腔ケアの重要性を痛感しています。いわゆる「8020(ハチマルニイマル)(80歳まで20本以上の自分の歯を保とうという啓発運動)」には程遠い自分のような人間を増やさないために、何ができるのか。行政として、口腔衛生の予防啓発を市民に広げていく責務があると考えます。
――そうした「予防」の分野で近年「オーラルフレイル」という言葉が出てきています。具体的にご説明いただけますか。
松本会長 「フレイル」とは”心身の衰え”という意味です。その中で、噛むことが難しい・飲み込みづらい・むせてしまう・滑舌が悪くなる…といった噛む力の低下、口の周りの筋肉・舌の動きの悪化を「オーラルフレイル」と言います。上手く噛めないと、柔らかい食べ物ばかりを好むようになる・会話がスムーズにいかず外出が億劫になるなどの影響があります。そうなると、食欲も減退し、日々の運動量も低下。社会参加にも支障をきたします。食べる・話すといった「口を動かすこと」は、精神状態も含めて全身につながるのです。つまり、健康寿命の延伸はオーラルフレイルの予防から始まると考えます。
――市では、これについてどのように取り組んでいますか。
上地市長 歯や口腔に関する健康づくり講座では、保健所健診センターで実施している市民健診に合わせて、不定期で「オーラルフレイル予防ミニ教室」を実施しています。また、口の周りや舌の筋肉を鍛える「パタカラ体操」も勧めています。「パ・タ・カ・ラ」と口の動きに意識しながら発音することで、食べるために必要な筋肉をトレーニングするものです。これに関しては、市オリジナルで横須賀市歌のメロディに乗せて紹介しています。ごみ収集車や防災チャイムで流れる市歌に合わせてやってみてください。
――近年、歯周病と心臓疾患との関連性など、さまざまな研究から、口腔ケアが全身の健康につながっていることが分かっています。オーラルフレイル予防も含めて、歯科医師会と横須賀市、それぞれ今後どのように取り組んでいきますか。
松本会長 「8020」はもちろんですが、歯の本数だけでなく「きちんと噛める」という基本が大事。その軸となるオーラルフレイルの予防は健康寿命の延伸、医療費軽減にもつながります。今回、ウェルシティに移転したことで、今までよりもさらに市の関連部署と顔の見える関係が築けるようになってきていると感じています。そのなかで、私たち歯科ができる重要な部分を市と手を携えて取り組んできたいと考えます。現在のところ、オーラルフレイルの認知度はまだまだ。市民の方には、口腔ケアにもっと関心を持っていただけるよう、イベントなどを通じて啓発活動を展開していきたいと思います。
上地市長 口腔ケアと健康寿命の延伸は、私が掲げる「誰も一人にしない」という言葉にもつながります。予防や啓発を専門家と行政が連携して取り組んでいくのは当然のこと。私自身、歌をやっていると年を重ねて口の周りの筋肉が衰えていくのが分かります。市としては、横須賀市歌に合わせた「パタカラ体操」など、まずは市民の方が取り組みやすいことを広げていきたいと考えています。
こどもタウンニュース よこすか・みうら版9月6日 |
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