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横須賀・三浦 コラム

公開日:2025.12.19

わたしのまちでいきる きょうだいの想い 編
【8】妹の笑顔と暗雲「一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛」

 この連載では、障がいを持って生まれたうららの兄、蓮から見た妹の姿やきょうだい児として感じてきたことなど、さまざまなエピソードを紹介します。

 妹が産まれました。病院でその小さな命を目の前にした時、それまで感じていた嫌な気持ちは不思議と無くなっていくようでした。触れて、抱いて、眠っている姿は今にも消えてしまいそうで、それでいて絶対的な命。神秘的でした。生命の美しさみたいなものが確かにそこにありました。

 妹と一緒に過ごすようになると、私の中にあった負の気持ちは少しずつだけれど溶けていきました。兄弟たちは、妹と「いつか一緒にこれをしたいな」とかそんな話で盛り上がり、私も、かわいいな、手を繋ぎながら歩いてどこかへ行ってみたいなと、そんな気持ちが膨れていきました。

 幼馴染や友人も妹に会いに来てくれて、早く喋らないかな、公園連れてこうぜ、とか言いたい放題。私の大切な人達が妹を可愛がってくれている。そんな状況が凄く嬉しかった。この先、大きな病気にかからないで、真っ直ぐ育って欲しい。本当にそれだけで良かった。でもそんなに上手くいかないんですね。

 目を開けると片目しか開かない。両目が開いたと思ったら斜視が酷い。1歳になる前に大体出来るようになる手拍子や手の真似事が出来ない。両手が必ずズレてしまう。伝い歩きをしている時によく見ると、足裏が地面にちゃんとついていない。両親は流石におかしいと思わざるを得ない。

 視界にモヤがかかったような、レンズのピントが合わないような。そんな暗雲が立ち込めました。ただ、妹の笑顔だけは、はっきりとそこにありました。-次回に続く

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