ウクライナ情勢などによる食材費やエネルギー価格の高騰が、学校給食にも影響を与え始めている。給食費の値上げによる保護者の負担増が懸念されるが、横須賀市は当面値上げしない方針を明らかにした。低廉な食材を代用するなど調理現場の努力と工夫で対応していく。材料費の上昇分を吸収できない場合に備えて公金の活用も検討する。
公金活用も検討
6月9日の市議会定例会で、公明党の関沢敏行議員と共産党の井坂直議員が学校給食の物価高騰対策を市に質し、新倉聡教育長が答えた。
横須賀市の公立小中学校では、パンまたは米飯とおかず、ミルクが給与される「完全給食」が実施されている。給食費は小学校で月額4千500円(年間4万9千500円)、中学校では月額5千400円(年間5万9千400円)となっている。調理現場では、この限られた予算の中で栄養価の確保に取り組んでいるが、値上げのピークを見通せない状況下で厳しい対応を迫られているという。
通常、献立が立てられなくなった場合は学校給食運営審議会に値上げを諮問することになるが、コロナ禍で多くの家庭が経済的なダメージを受けており、「値上げをお願いする状況にない」と新倉教育長。市教育委員会の担当者によると、豚肉を鶏肉に変更したり、価格変動の少ないモヤシで量を調整したり、冷凍の葉物を使用したりするなどで乗り切ろうとしている。それでも予算内に収まらない場合に備えて、市は公金活用の検討を示唆。保護者の負担増を避けるために食材費の増額分を市が負担する考えだ。未就学児が通う保育・教育施設や介護施設などの食事提供についても負担軽減措置を検討する考えを上地克明市長が明らかにした。
藤沢市では公費で9月から来年3月までの価格上昇分を補填して、給食費を据え置くことを発表。現場の工夫だけでは厳しい面があり予算化に踏み切った。
井坂市議は、昨今の食材価格上昇はウクライナ情勢など外的要因によるものだとして、輸入食材に頼らずに地場産品を学校給食に導入していくことも提案。対して、新倉教育長は「積極的に進めているところ。食材の確保と価格維持の両面で課題があるが、可能な限り利用をめざす」と答弁した。
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