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横須賀・三浦 トップニュース社会

公開日:2025.11.28

アライグマ
「害獣の命、無駄にしない」
ジビエ料理でおいしく

  • 「ジビエカー」の前に立つ天白さん(左)と同法人スタッフの中谷樹莉奈さん

 特定外来生物に指定されているアライグマなどの害獣を食肉として活用する「ジビエ」事業が今秋、横須賀市内で始動した。環境保全に取り組む「NPO法人三浦半島生物多様性保全」が捕獲許可を得て捕らえた個体を移動式食肉処理場で解体・加工し、飲食店に提供する。現在、提携する市内2店舗で、この肉を用いた料理の試作品製作が進んでいる。

 高い繁殖力と適応力を持つアライグマは、在来種の捕食や農作物への食害などで問題視されて久しい。神奈川県では捕獲や駆除に関する実施計画を立てるなど対策を図っている。取り組みの発案者である同法人のメンバーで横須賀市議の天白牧夫さんによると、三浦半島全域では、年間500〜600頭が捕獲されており、そのほとんどが燃えるゴミとして処理されているという。「根絶を早期に完了させることが第一であるが、一方で命の尊厳の観点から、できれば駆除個体を活用してやりたい」という思いを抱き続けてきた。

 構想を実現するため、天白さんは行政などとの調整を図り、今年10月に食肉処理業の許可をNPO法人として取得した。

 市から有害鳥獣捕獲許可を受けている天白さんが、わなを用いて捕獲する。その後、トラックを改造した移動式の「ジビエカー」に運び、肉を小分けに。真空パックにし、グラム売りで希望の飲食店に提供していく。現状、処理対象はアライグマを主としているが、体重10kg程度までの動物に対応可能だという。

 「利益を出すことが目的ではない」と天白さん。取り組みを広めることで、害獣の被害に遭う農家や家屋だけでなく、「市民に当事者意識が芽生え、捕獲の協力者が増えてくれたら」と願いを込める。

煮込んで旨味凝縮

 骨の周りの肉をほぐしてパスタのソースにしたり、はたまた赤ワインでじっくり煮込んでパサつきを抑えたり-。秋谷のイタリアンレストラン「Loriga」店主の伊藤亮太郎さんは現在、最適な使い道を図るべくアライグマ料理を試作中。「想定より臭みは少なく旨味がある。脂が少ないため、お腹が満たされたコース料理の終盤にも出しやすい」とアライグマの活用に手応えを感じており、「野菜や魚介類だけでない、横須賀の新たな食の資源となれば」と期待を寄せている。

 小川町のカレー店「SPOON YOKOSUKA」でもメニューとして提供可能か試作を通して模索中だ。

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