囲碁プロ棋士常石隆志2段 4年目で迎える大舞台 新人王戦に挑む2014年
若手の囲碁プロ棋士にとって登竜門とも言われる新人王戦の本戦出場を決めた。プロ4年目の今年、大きな戦いに挑む。「本戦に進むことができた。1局1局全力で打つ。勝ち取りたい」―。話しぶりは穏やかで冷静。しかし、碁盤の前に座ると表情は引き締まる。内に秘めた闘争心は、体を通じて碁石に伝える。
プロと世界の厳しさを知った2年
2010年の冬季棋士採用試験で念願のプロ入りを果たす。プロ1年目は7勝5敗と厳しさを味わった。
2年目は25勝と大きく飛躍。逆転勝ちが多く、本来の持ち味である最後まで諦めない粘りのある碁が勝ちに結びついた。
韓国で開催された日本、韓国、台湾、中国の棋士と争うLG杯に出場したが、1回戦負け。世界トップレベルの棋士との差を痛感した。
飛躍するために挑んだチャレンジ
棋士は大きく分けて3つのスタイルがあるといわれている。細かく陣地をとっていく「地取り碁」、取ったり取られたりと激しい戦いをする「喧嘩碁」、ゆっくりと大きく構えて進める「厚みの碁」。常石プロは厚みの碁をスタイルとする。しかし、上を目指し世界レベルに立ち向かうためにはスタイルにこだわらない戦い方も必要と考え、昨年はチャレンジの1年となった。結果は12勝9敗と振るわなかったが「自分のものにしきれなかったところがあったが、決して悪くはない」と、次に繋がる手応えを得た。
今年は結果を残す
目標にしているのは井山裕太(24)6冠。7つある国内タイトルのうち6つを保持している。「1歩でも近づくよう努力を積み重ねていく」。パソコンで国内だけではなく世界中の試合の棋譜を学ぶ。ネットでの対戦のほか研究会に出席して対局経験を積む。
囲碁中心の生活。「今年は大きな成果を獲得したい」と、静かなる闘志を燃やす。
才能を見抜いた中山弘氏これからの活躍に期待
常石プロが小学5年の時、初めて囲碁を習うために訪れたのが市内で子どもたちに囲碁を教える中山弘さんの教室だった。その時、中山さんは当時の常石プロの才能に気づいた。今も温かく見守る。中山さんは、現在の常石プロを「初めての壁に当たっている状態」と表現する。「昨年勝ち星が減ったのは12年に比べ上段者とあたることが多かったから。裏を返せば彼の実力が上がっていることになる。9敗で負け越していないことからもわかる」と説く。最初の壁は、プロになれば誰もが経験するもの、その壁を超える力は十分に持っているという。「ゆくゆくはタイトルホルダーに挑む戦いをするだろう」と見る。「一局でも多く経験を積み重ねていくことが成長に繋がる」とエールを送る。
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