「的の真ん中に当たったときが一番嬉しくて、楽しい」。あどけない笑顔でビームライフル射撃の魅力を話すのは、中村空さん(名向小5年)。昨年・一昨年と全日本選手権の種目別競技で2連覇を果たすなど、その実力は折り紙つき。一たびライフルを構えれば、先ほどまでの表情から一変、口を真一文字に結んで鋭い眼光で標的をじっと見つめ、引き金を引く。
もともとライフル射撃が趣味だった父・秩啓(つねひろ)さんの影響で4歳から習い始めた。徐々に命中精度が上がり、高得点を出すたび得られる爽快感に魅せられ、のめり込むのに時間は掛からなかった。結果が振るわず5位に甘んじた初参加の大会。負けた悔しさは、それまで楽しいだけだったビームライフルから結果を貪欲に求める競技へと意識を大きく変えた。加えて、自他ともに認める負けん気の強さが練習へと駆り立てる。100回、1000回と出来るまでとことん食らいつく姿に、指導者として2人3脚で歩んできた秩啓さんは「どんなに厳しくても、泣きながらでもついてくる。根性あるよね」と舌を巻く。
全日本大会で優勝した時、喜びに浸ったのも束の間、「嬉しかったけれど次は1位を守らなきゃいけないなと思った」と空さんは振り返る。常に気持ちは挑戦者。驕らず練習に打ち込んだ結果、翌年行われた同大会では大会記録を更新しての優勝を掴んだ。
所属する「横須賀市ライフル射撃協会」主催のキッズ大会では7連覇を達成。ジュニア選手の育成に力を入れる同協会の廣田眞作会長も「小学生ではトップクラスの実力を持っている。のびしろがあり、将来、五輪出場も期待できる」と太鼓判をおす。
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日本ではいまだマイナーなスポーツゆえ、専用施設は全国的に少ない。県内にある横須賀市久里浜と伊勢原市の射撃場へ週に何度も足を運んでいるが、時間の制約や経済的負担も大きく練習の足枷になっていたことから、思い切って自宅の2階すべてを簡易練習場に改装。実際の射撃場を再現しようと、秩啓さんの手作りで家の端から端を使ったレーンを完成させ、自宅でも日夜練習に励んでいる。
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「チャンスは可能性がない人には巡ってこない。だからこそ、常に力を発揮する努力を怠るな」が親子の”ライフル人生”訓。「射撃の五輪選手になりたい」と心に決めた日から、夢実現に向けた準備は既に始まっている。描いた未来に照準を合わせて一射入魂の日々は続く。
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