三浦市が地域創生戦略の1つに盛り込む「三浦版CCRC」構想が、計画策定に向けて今月から本格始動する。高齢者の移住促進で人口減少抑制や地域経済の活性化を図るというもの。国の交付金を活用した検討調査事業で市内のニーズなどをとりまとめた後、具体的な方針を固めていく。
「CCRC」(Continuing Care Retirement Community)とは、リタイアした高齢者が健康時から介護、終身まで継続したケアを受けながら過ごすシニアタウンをさす。アメリカで発展した新しい地域システムで、近年では政府も人口減少対策・消費需要の喚起や雇用創出、地域活性化に効果があるとの見解を示している。地方都市にCCRCを活用したコミュニティを作ることで、一極集中する都心から地方へ人の流れを変えための地方創生施策の1つとして推進している。
同様の課題を抱える三浦市でもその有効性に着目。豊富な食材や景観、温暖な気候、都心から約70分というアクセスのよさなどがアクティブな高齢者を引きつける魅力があるとし、実現に向けて動いている。また、昨年9月の市議会第3回定例会のなかで吉田三浦市長は同構想において、市内進出に興味を示した事業者がいたことも取り組みに至った理由の1つと説明。市の懸案でもある企業誘致における好影響にも期待を寄せている。
三浦版CCRC構想の策定については、委託事業で実施。昨年10月に認定を受けた国の地域創生先行型交付金(1492万6千円)を活用して行われる。住民・企業・金融機関・教育機関をはじめとする様々な分野の関係者から意見を募り、進出意向を示す事業者を交えた協議会を組織。策定のための協議を行っていく予定。
一方、昨年12月に開かれた三浦市議会定例会で木村謙蔵議員(無所属)が、CCRC構想について質問。「三浦の特異性を有効に活用できる機能」として推進する市に対して、「有料老人ホームでも都心回帰の傾向がある今、入居者が見込めるのか」「入居時は健康でも、いずれは要介護状態になることを考えるとデメリットもあるのではないか」などと言及。構想策定に慎重な姿勢を見せた。
先進例、続々
全国でもCCRCの普及は進んでおり、石川県金沢市・千葉県稲毛市では、シニア向け分譲マンションやサービス付高齢者住宅に、医療・娯楽・商業施設などが併設したシニアタウンが展開され、先行事例として注目を集めている。
新潟県南魚沼市や山梨県都留市では国から1700億円の交付を受けて、16年度中にモデル事業をスタートさせる。
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