三浦 文化
公開日:2022.12.16
五・七・五に綴る日常
下宮田在住・中澤さんが句集『道』上梓
下宮田に住む中澤靜恵さん(91)は11月1日、俳句集『道』を自費出版した。『引橋』『位星』『群青の灘』に続く4作目で、日常の瞬間を切り取った308句を収録。新年・春・夏・秋・冬・いろはの6つで構成され、好きな押し花もカラーで添えた。
かつて母が詠んだ句に添える俳画を習い始めたが、周囲の勧めもあって、70歳から詩を自作するようになった。その後しばらくして、病気で次男を亡くした。心にぽっかりと空いた喪失感を埋めるため、行き場のない悲哀や葛藤を句にしたためることで、少しずつ気持ちが前を向くようになった。
いつしか五・七・五で作る17音の世界に魅せられ、日記を書くように言葉を綴った。それらをまとめた自身初となる句集を2008年に上梓。朝方、外から聞こえてくる鳥のさえずりや窓から見える富士山といった生活する中で美しさを感じると、ふとフレーズが浮かんでくる。「そんな時はすかさずメモを取って、いつも忘れないようにしている」と笑う。
『何もかも忘れ師走のパン作り』。約40年前に「三崎パン洋菓子店」を開業。研修のため欧州を3度訪れ、仕事に全身全霊を打ち込んだことを詠んだ今作の一句だ。「自分を支え、引き立たせてくれるのが俳句。人生を振り返るきっかけにもなって良かった」
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