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三浦 社会

公開日:2023.01.06

安心安全なまちへ地域一丸
太田広明署長インタビュー

  • インタビューに応じる太田署長

 高齢者を主なターゲットに、未だ全国各地で被害が収まらない特殊詐欺。三浦市内も例外ではない。三崎警察署管内で昨年発生した被害件数は12月25日時点で7件、被害額は594万5千円にのぼり、一昨年同期比の1件、10万円から大幅増。新年を迎えた今も十分な注意が必要で、署員たちは「被害に遭わないように」と市民に呼び掛けている。では具体的にどのような対策を講じれば良いか。太田広明署長から近年多発する犯行の手口や未然に防ぐ方法のほか、交通安全に向けた取組など話を聞いた。

巧妙化する詐欺の手口

 ――昨年の特殊詐欺の被害状況について教えてください。

 「年々手口が巧妙化しています。

 市内で最も多かった手口が、還付金詐欺の4件でした。市役所など公的機関を装った犯人から『医療費を返還したい』などと電話があり、被害者が利用している金融機関を聞き出します。その後、金融機関の職員を語る人物から『返金の手続きのためATMに行って手続きしてください』と促され、電話で操作手順を指示されます。言われるがままに進めた結果、最終的に犯人の口座へお金を振り込んでしまった、というケースです。

 また、架空請求詐欺も3件ありました。パソコンの画面上に『ウイルスに感染しました』の表記やメール・ハガキに実在の有料サイト業者を名乗り、『有料サイトの未払い金があります。支払いがない場合は法的手段に移行します。〇〇サポートセンター【電話】03―〇〇〇〇―〇〇〇〇』などの案内がきます。連絡先に問い合わせると『未払い金額分のギフトカードをコンビニで買って、その番号を教えてください』と言われる流れです。

 全国的には、まだオレオレ詐欺の被害もあります。息子や孫など親族と偽った犯人から電話が入り、『会社の金が入った鞄をなくした。今すぐ対応しないとクビになる。少しでいいから貸してくれ』などとだまし、自宅まで直接お金を取りにきたり、現金を口座に振り込ませたりします。ただ三方を海に囲まれた市内では、バス移動が多く逃げにくいためか、被害はありませんでした。

 そのほか、警官や百貨店の職員などを名乗ってキャッシュカードをすり替えて盗み取るなど、手口は大きく10種類ほどに分類されます」

 ――詐欺被害を防ぐためのアドバイスを。

 「犯人の最初の接触はほぼ電話です。前兆電話の時点で一度電話を切り、家族や友人などに相談する冷静な行動が必要となります。普段から周りの人たちと密なコミュニケーションを取るように心掛けてほしいです。

 また、自動録音機能付き電話や留守番電話の設定も非常に大きな効果を発揮します。通話時に録音機能があることを犯人に示すことで抑止力になり、仮に被害にあったとしても音声が犯人逮捕への手掛かりになります。

 知らない電話番号からの儲け話や不安を煽るような話には絶対に乗らず、怪しいメールは開いたり返信したりせず、水際での対策を徹底してほしいです。もし何かあったら躊躇せず、三崎署までご相談ください」

高齢者の免許保有率県2位

 ――昨年の交通事故の件数と発生状況は。

 「交通事故の件数は、12月25日時点で114人。負傷者132人のほか、夜間に後方からきたオートバイにはねられた歩行者1人がお亡くなりになりました。一昨年と比べると、件数自体は減少傾向にありますが、気は緩められません。

 なかでも事故が多い場所は交差点や横断歩道付近で、乗用車が右左折の際に自転車を巻き込んだり、前方不注意で止まらずに直進したり、左右を確認せずに歩行者が突然道路を横切って乗用車やオートバイと接触したりするケースです。

 特に高齢者の方は運転に、十分気をつけてほしいと思います。65歳以上の運転免許保有率を見ると、11月末時点で神奈川県内18・5%に対し、三浦市32・3%(8413人)と、相模原市津久井署管内に次ぎ2番目に高い数値であることが分かります。高齢者だけが事故を起こす訳ではありませんが、ブレーキとアクセルを間違えて死亡事故に繋がるケースは全国的に多く、認知機能の低下や体調不良が主な原因。運転に集中し、安全確認を怠らないのは当然ですが、少しでも不安があったら免許返納という手段もあります。言いづらいとは思いますが、痛ましい事故を起こさないために家族など周囲の方々の見守りも大切です」

 ――事故・事件を減らす三崎署の活動は。

 「スタントマンの実演を通して事故の危険性を伝える自転車交通安全教室『スケアード・ストレイト』を中学校で行ったり、署の隣にある『いなげや』の駐車場に県警の交通安全教育車『ゆとり号』を配備して歩行・自転車・自動車の運転シュミレータによる動作判断や危険予測チェックを市民に体験してもらったり、また交通安全と詐欺撲滅に共通する活動では、署員が地域を巡回後に各区長のポストへ立ち寄った日時と事故状況や防犯情報などを記した『パトロールカード』の投函を強化しています」

 ――最後に市民へメッセージをお願いします。

 「異常があったらすぐ署に通報するなど外郭団体をはじめとする市民の皆さまは我々の活動に協力的で、地域コミュニティーの強さを感じています。署員はもちろん、地域一丸で安心安全なまちを目指していきます」

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