防犯・防災ボランティア団体「鎌倉ガーディアンズ」代表で広島出身の大津定博さんが今月、7月に発生した西日本豪雨の被災地をボランティアとして訪れた。当市の防災にも生かせる教訓について、寄稿してもらった。
広島市東部の矢野地区に数回赴き、災害ボランティアをしながら被災地の状況を見聞してきた。
同地区は避難誘導した警察官2人が犠牲になるなど、最も被害が大きい現場の一つ。例えるなら西鎌倉やハイランドなど新興住宅街の地形だ。
自衛隊は県道や市道の土砂は撤去するが、個人宅は基本的に住民自ら撤去する。1m以上積もった土砂を高齢化の進む地区の住民だけで撤去することは不可能で、ボランティアの力が必要だ。
受け入れや運営を担う社会福祉協議会によれば「必要な人数の約2割しか集まっていない」とのこと。被害の範囲が広い上に、殺人的な猛暑が追い打ちをかけている。
作業中はなるべく被災者に声をかけることを心がけた。それが心のケアにも繋がると言われたからで、そうしたなか出会ったのが矢野小学校の広本典子校長先生だった。
矢野地区では「大量の土砂を中腹の矢野小学校の広い校庭が受け止めて犠牲者が少なくて済んだ」と言われている。
ただ9月の始業式までには土砂の撤去は間に合わないとのこと。子どもたちのためにもなんとか救う方法は無いだろうか。
避難所も訪れたが、以前訪れた熊本地震の被災地に比べて進歩していた。ほぼ全員に段ボールベッドが配られ、食事も看護師も用意されていた。
ただ【1】女性の下着などを干すスペースが無い【2】間仕切りが不完全、などの課題もあったようだ。
改めて感じたのは、自分の命は自分で守るということだ。土砂災害は瞬時に起きる。情報に耳を傾け早めの避難が鉄則となる。厄介なのは「自分は大丈夫」と考える「正常性バイアス」である。今回の豪雨でも自宅で逃げ遅れて亡くなった方が8割に上るという。
犯罪や災害は地域力を考える一番のカンフルと言われる。災禍を乗り越え、災害で悲しまない地域づくりを進めたい。
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