手話や点字などの手段によって視覚・聴覚障害者らが情報取得の機会を確保し、社会に参加しやすい環境をつくることを目的にした条例が7月2日、鎌倉市議会で全会一致で可決し、成立した。行政だけでなく、市民、事業者にも役割が求められている。
条例は、障害がある人が不安や不便を感じることなく生活ができるよう、情報取得、意思疎通などが円滑に行える環境整備を市が努めることを明記している。
市は、発行する広報紙で点字版、音声版を発行してきたが、さらに情報を取得しやすいように、他の媒体などにも広げていく方針。市長の定例記者会見では昨年10月から手話通訳を導入した。健康福祉部は「各課で、できること、必要と思われることを洗い出している。できることから始め、予算が必要となるものは来年度から行う予定」としている。
条例には事業者に対し、点字によるメニュー表の開発や補助犬の受け入れなどを念頭に、協力を求めることが記載されている。「関連する団体と協議し、実現に努めたい」と同課。
補助犬への理解を
条例には、情報取得、意思疎通を図る手段として筆記や音声のほか、身体障害者補助犬も明記された。市議会では「盲導犬など補助犬が市内の店舗を利用できない」という声を受け、「補助犬と暮らすフレンドリーなまち鎌倉を実現する政策法務研究会」(代表・吉岡和江市議)を立ち上げ、2020年に提言書を松尾崇市長に提出した。メンバーのひとり久坂くにえ市議は「補助犬に関する法律はあるが、現実と大きく乖離している。明記することで多くの人が課題を認識し、利用しやすい社会になれば」と話している。
条例制定を受け、市身体障害者福祉協会の木村康洋会長は「助けが必要な人が身近にいることを多くの市民に知ってもらうきっかけになれば。公共から民間へと広がってほしい」とコメントした。市聴覚障害者協会の春吉秀雄会長は「制定され、実にうれしく思っている。まだ急病や災害時の情報取得には課題がある。バリアフリー社会の鎌倉市であってほしいと願っている」とした。
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