富士見町在住の音楽評論家・宮治淳一さん(62)が、今秋「MY LITTLE HOMETOWN 茅ヶ崎音楽物語」(ポプラ社)を出版した。長年研究してきた地元茅ヶ崎の音楽史を、宮治さん自身の視点で綴ったこのエッセイ。市内の書店のほか、現在開催中の桑田佳祐さんのソロ全国ツアーの各会場でも販売され、反響を呼んでいる。
宮治さんは、プロモーター、DJ、レコード会社に勤めながら富士見町のミュージックライブラリー&カフェ「ブランディン」を開くなど、音楽と茅ヶ崎に添う活動を続けてきた。サザンオールスターズの名付け親でもあり、桑田さんとは小中学校時代から交友を深める仲。その中で、以前から「一地方都市に過ぎない茅ヶ崎が、加山雄三や桑田佳祐、最近ではSUCHMOSのYONCEなど、これほど多くの音楽家を輩出しているのはなぜか」という疑問を抱き続けてきた。
2011年に加山雄三さんのいとこの音楽家・喜多嶋修さんとレコード会社で偶然「茅ヶ崎と音楽」について話したことで「疑問」への興味が再燃。関係者への取材や図書館で茅ヶ崎の歴史に関する書物を読むなど研究を始めた。2015年には桑田さんとも話し、宮治さんは「いつか本にしたい」と考えるようになった。
才能高める土地の力
一方、桑田さんの還暦を祝う映画を所属事務所が企画し、始めは内輪で披露する予定が「茅ヶ崎物語」として全国公開する運びに。そこで「このタイミングで出版してみてはどうか」と声が掛かり、桑田さんのコンサート会場でも販売するため、10月に出版することが決まった。「茅ヶ崎と縁の深い10曲」を各章立てする形に決め、有名人や地域の歴史を辿る書物は数あることから、独自の「第三者目線のドキュメンタリー調」にした。8月から200冊の資料を手に、縁の曲を聞きながら、1日1万字を綴った。同書を手にした桑田さんからは「面白かった」とコメントをもらったという。
執筆に際し、平尾昌晃氏ら茅ヶ崎に縁ある音楽関係者が亡くなっていき、「自分自身や関係する人たちが生きているうちに、何とか形になって良かった」と振り返る宮治さん。同書の完成を経て「海があり、開放的な茅ヶ崎の風土には、文化芸能など才能ある人を高める土地の力がある。まだ全ての謎は解けないが、茅ヶ崎に住んでいる人にこそ読んでほしい一冊」と話した。
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