茅ヶ崎にゆかりの深いクリエイティブディレクターの水野学さん(46)が3月25日、美術科で恩師の山本幹雄教諭(65)の退任式に合わせて松林中学校を訪れ、生徒に特別講演と恩師に祝辞を贈った。当日は水野さんが産み出した熊本県PRキャラクターのくまモンもサプライズ登場し、「親子3世代」が肩を並べた。
水野さんは、生まれてすぐ市内南湖に移住し多摩美術大学時代まで香川で過ごした。小学5年生の時に、交通事故で入院生活と自宅療養する中で絵に興味を持ち、鶴が台中学校2年生の時に山本教諭と出会い、美術の面白さを学んだ。
偶然の重なり
今回の親子3世代交流は同校の二戸依里教諭(51)が仕掛け人だ。5年前の新聞記事で水野さんと山本教諭の関係を偶然知った二戸さんは、「いつか再会させたい」と考えていたという。その後、水野さんが代表を務める(株)グッドデザインカンパニーの社員と展示会で懇意となり、同社から”再会”のサプライズ計画を相談された。二戸教諭の橋渡しによって昨年、水野さんのトークショーに山本教諭が参加し、”約30年ぶりの再会”が実現した。これを縁に水野さんが「山本先生の退任式に出席する」と約束し、今回の運びとなった。
本質を見極めよ
そして迎えた3月25日。講演で水野さんは在校生に「メチャクチャ楽しいと思える仕事ができるよう、学生時代を過ごしてほしい」と話した。また山本教諭には、レバノン出身の詩人のハリール・ジブラーンの詩『子について』の一説を引用し、山本教諭を弓、自身を含む教え子たちを矢に例え感謝の意を伝えた。「山本先生の『物事の本質を見極めよ』の言葉は46歳になっても覚えています」
親子3世代
閉式直前に「スペシャルゲストがいます」とアナウンス。驚きの声の中、体育館入口からくまモンが飛び込んできた。
実はこれも、二戸教諭が2人に内緒で熊本県に依頼したもの。水野さんはくまモンの産みの親。山本教諭と水野さんの関係を親子とすると、山本教諭とくまモンは祖父と孫にあたる。
思いがけない「親子3世代」の共演に山本教諭は、「晴れ晴れした気持ち。本質的な教育は芽吹くまで時間がかかるが、それがここで見られて、教師冥利に尽きる」と教員生活41年に幕を閉じた。
水野さんは、「山本先生のさまざまな角度で考えるという教えが、少なからずくまモンにつながっている。先生の退任に花を添えられてうれしい」と、山本教諭と握手と抱擁を交わした。
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