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「殺処分ゼロ」かすむ命の窮状 県動物愛護センターで見学会

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掲載号:2018年5月10日号

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保護された犬が参加者をさみしげに見つめていた
保護された犬が参加者をさみしげに見つめていた

 犬猫の尊厳一体どこへ

 県動物保護センター(土屋401)で先月26日、動物保護団体主催の「棄てられた犬・猫の現状を知ってほしい」と題した施設見学会が開かれ、市内外から30人が訪れた。老朽化による建て替えが進むなか、取り壊し前の殺処分施設も公開された。県が「殺処分ゼロ」を声高に宣言する一方、本紙では保護された犬や猫の現状を取材した。

 土屋地区の山里にひっそりとたたずむ動物保護センターの開所は、1974年。横浜・川崎・相模原・横須賀・藤沢をのぞく県内全域を管轄し、現在は犬32頭、猫61頭が保護されている(4月26日現在)。

 見学会では、犬や猫が暮らす屋外の檻やかつての解剖室、炭酸ガスによる殺処分が行われていた「スリーピングボックス」も公開された。そこでは開所から13年度までの41年間で犬26万頭、猫18万頭が処分された。

 県は14年4月、前年度に収容された犬の「殺処分ゼロ」を発表した。翌年には焼却炉を廃棄し、猫の殺処分ゼロも達成するなど「生かす施設」として方針を転換。一方、センターで暮らす犬や猫の現状はあまり知られていない。

 見学会では毛布の敷かれていない檻も確認され、冷たいコンクリートの上で飼い主を待つ姿は悲しげ。ノミの発生による全身のかゆみに苦しむ犬もいた。こうした環境について担当者は「人材不足もあって対応できていないのが現状」と説明する。

 施設の年間運営費は人件費を除いておよそ6千万円。「税金の用途は動物より人間が優先」という市民感情もあるがゆえ、けがや病気の治療を十分に受けられない犬や猫がほとんどだ。

 飼い主の高齢化などやむを得ない理由だけでなく、時々に流行する犬種・猫種に応じて洋服のようにペットを買い替える悪質な飼い主の身勝手によってセンターへ保護される犬や猫も多い。「命の尊厳が無視されたまま、ずっと主の迎えを待つ苦しみを知って」と話すのは、見学会を主催した団体のひとつWAN,S LIFE湘南里親の代表・岡本さと子さん(45)だ。

 岡本さんら地域の動物保護団体では、センターの犬や猫にシャンプーをしてあげるボランティアのほか、治療が必要な犬や猫を善意で受け入れてくれる動物病院との折衝、引き取り手となる里親探しなど、行政が対応し切れていない取り組みを進め、「殺処分ゼロ」を下支えしている。

 3日に花菜ガーデンで開かれた里親譲渡会で岡本さんは、センターから引き取った7頭を含む12頭の犬を会場に連れ、午前だけで2件の里親希望を受けた。毎月、平塚や大磯で譲渡会を実施している岡本さんは「人に見放された命に対し『殺処分ゼロだから幸せ』とは到底思えない。多くの皆さんにも考えてほしい」と訴える。

 県では「かながわペットのいのち基金」を先月に創設。保護された犬や猫の待遇改善や譲渡の取り組みを充実させるとしている。
 

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