2021年5月の災害対策基本法改正により、市町村の努力義務となっている「個別避難計画」。災害時に一人で避難することが困難な「避難行動要支援者」を誰が支援し、どこに避難するかなどを自治会や消防団、民生委員、福祉の専門職等の関係者と調整するものだ。二宮町でも土砂災害や浸水被害があった台風10号では、個別避難計画を作ったばかりの町民が葛川溢水前に避難を完了させるなど手応えもあったという。
二宮町内で一人暮らしする85歳の足達明子(はるこ)さんは同計画に基づき、今年1月に町や地区長などと連携して訓練した一人だ。
関節リウマチによる全身硬直の症状があり、松葉杖を使い生活している足達さん。崖に近い自宅は土砂災害特別警戒区域となっているものの「地盤が強いと言われていたから、災害について考えたことはなかった」と話す。
避難所も見直し
関節が動きづらく、転んだ際には自力で起き上がるのが困難な足達さん。「段差があれば腕の力で立ち上がれるけれど、避難所の体育館など平らな場所では立ち上がるのも難しい」と話す。
加えて地域の避難場所になっている二宮高校までの道は上り坂で、体育館が2階にあることから、足達さんはベッドなどが配備可能な福祉避難所の保健センターへ避難所を変更した。
1月の訓練にも参加した近隣に暮らす次女の小又恵子さんは「日々一人で暮らす母のことが心配だった。行政や地域の方と顔を合わすことができ心強かった」と話した。
村田邦子町長は、「高齢者が増えていると肌で感じている。引き続き計画作成のスピードアップを図る」と話していた。
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