近藤一淳(かずよし)さん(59)が昨年12月、東京で開催された「RF武道空手道選手権大会・関東大会」で優勝した。格闘技を始めてわずか2年で、昨年3月の前回大会に続いて2連覇を達成した。
パンチ、キック、投げ、寝技ありの大会でシニアの部に出場した近藤さんは、決勝戦で45歳の選手と対戦。柔道経験を活かした内股や蹴りが決まり、年齢がひと回り以上下の相手にポイント5-4で勝利した。「投げに頼ってしまい反省点も多いが、優勝できてよかった。次も勝ちたい」と近藤さんは意欲を見せた。
高校時代は柔道部だった近藤さんだが、卒業後は家業の八百屋「こんどう」(南足柄)で働き、スポーツと縁のない生活を送っていた。転機は56歳のとき。格闘技好きだった近藤さんは、ラジオで47歳のチャンピオンがいることを知り、一念発起。「何でもやってみよう」という持ち前のチャレンジ精神で、自宅近くの格闘技道場『蒼天塾』に入った。
指導者も驚き「優勝するとは」
約100人が在籍する道場では最年長。八百屋の仕事終わりに週3回道場へ通い、筋力トレーニングやスパーリングなどで汗を流す。蒼天塾を主宰する田代徳一さん(54)は「試合出場にも驚いたが、まさか優勝し続けるとは。すごい」と称賛する。妻・由美子さん(59)も「健康にもいいし応援している」という。
5人の孫を持つ”おじいちゃん”でもある近藤さんは、「頑張る姿を子どもや孫に見せることで何か伝わるんじゃないかと思う。年をとったけれど、まだまだできる」。還暦間近のオヤジの戦いは、始まったばかりだ。