高校チャンピオン3人、全国大会には約100人を送り出した西湘高校少林寺拳法部・金原史忠顧問(60)。城内高、小田原高、西湘高と市内を渡り歩き競技普及に努めた拳士は、3月末で定年を迎えた。
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「関東や全国大会に生徒を出場させているので、ガンガンやっていると思われがちなのですが、実は違うんです。根性ものは大嫌い。やっぱり楽しくないと」。少林寺拳法と聞くと、研ぎ澄まされた空間で練習に打ち込んでいるのかと思いきや、金原流の指導はジョーク混じり。鈍い動きを見せた生徒には、「勉強のしすぎで動けなくなったか」と茶化してみせる。生徒たちからは「おもしろい先生。細かいところまで見てくれ、指導がわかりすい」といった声があがる。
「マイナースポーツ」のため、普及に向けた環境は自身で切り拓いてきた。
20年前に赴任した城内高校には少林寺拳法部がなかった。「先生、少林寺やりたいです」。忘れもしない女子生徒の一言が、名将への始まりだった。女子高のため、部創設は他の職員から反対されるだろうと思っていたが、会議では意外にも賛同の声が。護身術としていいのではないかと、愛好会からスタート。同好会を経て部に昇格、2002年には部員が82人まで増えた。その年に初めての全国チャンピオンを誕生させた。
卒業までに黒帯
小田原高、西湘高でもそれぞれ部を創り、裾野を広げていく。09年には、当時小田原高に在籍していた次女・由佳さんが全国優勝を果たした。「新入部員の99%は初心者。運動神経がよくない子もいる。それでも、がんばれば関東や全国に出場でき自信になる」。入学時に白帯の生徒のほとんどが、卒業するときには黒帯で巣立っていく。
15歳から生涯スポーツとして取り組んできた少林寺拳法で、自身の心も強くなった。高校時代は「おとなしい性格だった」というが、クラスのいじめには注意を発した。今の高校生に対し、思うことがある。「腕を磨いて強くなることで、悪いことは悪いと言える強さを持ってほしい」と。4月から再任用となる小田原高でも、その思いを胸に指導にあたる。
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