小田原・箱根・湯河原・真鶴 社会
公開日:2016.06.04
実現した長年の願い
アメリカのバラク・オバマ大統領が5月27日、被爆地・広島を訪問した。現職の大統領として初めての出来事について、市内の被爆者たちはどう見つめたのか。話を聞いた。
「アメリカの大統領に被爆地へ来てもらうのは長年の願い。やっと実現した」
小田原市原爆被災者の会で会長を務める大西国夫さん(市内栢山在住・80)は、小学生の頃に長崎市で被爆。自宅が半壊したものの、家族は全員無事だった。
しかし、苦難を感じたのはむしろその後の人生の方。「後遺症はないか」「遺伝はしないか」と、就職や結婚、子どもの誕生など、人生の節目を迎える度に体の隅に放射能が潜んでいるのではないかとの不安に苛まれた。「目に見えないものに追いかけられている感じ。被爆から何年経っても、いつその影響がでるか分からない」と、身を以て知った恐怖を語る。
だが、世界で核保有国が増えている現実に、「広島や長崎の経験が生かされていない」と嘆き、「核をこれ以上広げないため、国の代表者に見て感じてもらうのは一番大切なこと」と今回の訪問を評価していた。
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同副会長の柴田實智子(みちこ)さん(市内久野在住・74)は広島市出身。爆心地から東へ3・5Kmの地点に住んでいた。「その瞬間は近所の親戚の家にいて、食卓の茶碗が爆風で吹き飛んだけれど怪我はなかった」。だが、同居していた従姉は通勤中に広島駅で被爆。一命を取り留めたが、咄嗟に顔を覆った腕にはブラウスのレース模様が焼きついた。それ程強烈な熱線だった。
そのブラウスが保管されているという原爆資料館を、今回オバマ大統領が訪問した。「戦争の悲惨さを肌身で感じてもらえる場所。ここで得た感想を世界に伝え、大統領を退いても核廃絶に向けて頑張ってほしい」と期待を込めた。
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