「仕事帰りの一杯が楽しみ」という世のお父さんとは一味違い、仕事後の波乗りが最高の瞬間――。365日、ほぼ毎日、酒匂の海でサーフィンに勤しむ肌は、見事なまでに褐色に仕上がっている。
「ボードの上に立つと頭の中が真っ白になる。嫌な事も、すべて忘れられるその瞬間がたまらない」。波の上を滑る数十秒ほどの至福のひと時に魅了されて11年。昼の顔は、住宅の基礎工事や外構を手がける会社の代表だ。
幼い頃から海が好き。2人の子どもと遊ぶのも、やはり海だった。そんな環境で育った姉弟も当然のようにサーフィンを始め、姉の姫七さん(城北工高3年)は、今年プロデビュー。弟の仁君(同1年)も今年プロの公認資格を得た。学校帰りの2人も決まって酒匂の海へ行く。父子の団らんも海の上。サーフィンの話はもちろん、他愛のない会話もしばしば。「親として子ども達の成長や活躍は本当にうれしい。ただ、同じサーファーとしては正直悔しい」と本音をポロリ。今日もまた、一日の汗と泥を落としながら、大好きな大海原へと親子で漕ぎ出す。