その一皿、伝統と腕と縁 ジャーナリストが渡した橋

文化

掲載号:2016年8月27日号

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15代柿右衛門さんと依田さん
15代柿右衛門さんと依田さん

 佐賀県の有田焼を代表する陶芸家・15代酒井田柿右衛門さんが7月22日、市内早川のレストラン・イルマーレに来店した。総料理長の依田隆さんが招いたこの夜、15代柿右衛門さんから直々に贈られた器に依田さんが料理を盛り付けた。

 突き出しは依田さんが小田原漁港の漁師と話し、仕入れたムギイカのフリット。15代柿右衛門さんは驚きと興奮を覚え、その後の料理にも「もう最高でしたよ。どれも」と頬を緩めた。

 2人に橋を渡したのはジャーナリスト・和多田進さんだ。全身全霊で14代柿右衛門さんを追い、2014年の当代襲名後も親交を保つ。同年暮れ、和多田さんの愛するイルマーレでテーブルを囲み「自分の好きな味と柿右衛門さんの器が一緒になれたらうれしいね」と2人に言った。

 これを「縁」とし、まず動いたのは陶芸家だった。濁手(にごしで)という乳白色に暖色系の色彩で絵を付けた色絵磁器がいわゆる柿右衛門様式だが、15代柿右衛門さんは「最初から色絵磁器よりレストランだから白地で使えるものを」と、宝尽くしの文様の器を贈った。窯に代々伝わる江戸時代の職人が作った型で作られたこの器を「うちの技術の結晶」という。世にごまんと料理店があり「器を使わせて欲しい」との話もあるが、提供されているのはここだけだ。

 昔ながらの自然原材料を使い、技術を守り器を作る柿右衛門窯。その文化は、東インド会社を通じた百年に渡る欧州交流で育まれた洋食器の文化でもある。真っ白な器しか使わなかったという依田さんは、「今までは美味しさだけを突き詰めてきたが、この器に出会い初めて余白の美、器の美しさを学んだ」。

 22日の夜の出来事は2人の序章に過ぎない。ゆくゆくは色絵磁器の提供も視野に入れ、15代柿右衛門さんは「せっかく頂いたご縁。依田さんの意向をしっかり聞き、柿右衛門として納得したものを出したい。いろいろな話をし、現代の形で柿右衛門の焼き物を提供できたらうれしい」と話した。

15代柿右衛門さんが贈った器に盛られたムギイカのフリット
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