子どもたちが、自分の夢の実現を伝える未来の新聞を作り、発表する「夢新聞教室」が小田原で開かれた。自分自身の夢を思い描き、発表した子どもたちは、応援してくれる家族や仲間の存在に気づき、諦めないことの大切さを学んだ。
「夢新聞教室」は、2011年3月11日の東日本大震災の後、被災者を元気づけたいとの思いから、長野県の新聞販売店が中心となって始まった。現在は、初期のメンバーが一般社団法人ドリームペーパーコミュニケーションズを立ち上げ、講座を開き、受講生に教室を開くためのノウハウを伝授。活動は全国に広がり、これまでに4900人以上が参加している。
グラフィックデザイナーで平塚の新聞販売店に勤める本田浩一さん(35)は、夢新聞教室の活動を知り、勤務先の古家昇所長(44)に相談。地域貢献活動を模索していた古家所長は「子ども達に元気になってもらえれば」と講座の受講料を出資、本田さんの認定講師の資格取得を応援した。
五輪、W杯で活躍!?
下曽我の梅の里センターで開かれた教室には、本田さんが監督を務めていたドッヂボールチーム所属の小学生ら約50人が参加。チーム関係者や勤務先の新聞販売店スタッフが本田さんをサポートした。
子どもたちは、日付とトップニュースの見出し、写真、文章が空欄の「夢実現新聞」という名の新聞に、自身の夢が叶った時を想像し、ニュースで報じられる様子を自ら書く。野球のイチロー選手やサッカーの本田圭佑選手も小学生当時、夢を作文にしたため、実現するために具体的に何をすべきかについて書いていたことなども紹介、「夢」を持つことの大切さがリアルなものとして落とし込まれていく。
教室では、「時間内に全員が完成するにはどうすればよいか」など、新聞を作りながら、自ら考える「アクティブラーニング」の要素も盛り込まれている。
スポーツ選手や芸能人として活躍、大きなサメを釣る、発明をするなど、さまざまな夢を報じる新聞が完成すると、夢発表祝賀会として、一人ずつ自身の新聞を紹介。他の子どもたちから「オメデトー」と拍手と歓声で夢の実現を祝ってもらう。恥ずかしそうに自らの夢を発表する子ども達は、仲間たちの声援を受けると、表情が一変。満更でもない笑顔に変わっていく=写真。夢の実現に向け、やる気が漲っていくのが伝わった。
リオ五輪の水谷隼選手の活躍を見て卓球を始めたくなったという中村紘槻君(足柄小6)の夢は「卓球で五輪出場!」。すでに中学で卓球部への入部を心に決めており、「練習しなきゃ」と早くも闘志を燃やしている。
終了後「皆の目が輝いていた」と喜んだ本田さん。今後も続けていきたいという。