代表的な高齢者スポーツのひとつ「ゲートボール」。かつては公園などで楽しむ姿がよく見られたが、近年は全国的に競技人口が減少している。小田原も例外でなく、小田原市ゲートボール協会に加盟するのは現在1団体だ。
「第1ゲート通過!」。5月17日午前9時過ぎ、上府中公園。さがみ信用金庫主催のゲートボール大会が始まった。真剣な表情でキビキビとプレーする姿が印象的だ。
ゲートボールは5人編成のチーム対抗競技。「作戦を立て、主将の指示に従いプレーする。うんと頭を使う」と開成町から参加した橋本健さん(77)。二宮町の橘川謙司さん(83)も、「囲碁や将棋と同様、何手か先を読む力が必要。認知症予防にもなる」と語り、「真剣勝負で試合中はカッカすることもあるけれど、おかげで活力を養える」。同じく橘川卓司さん(76)も、「相手が嫌がることを狙うのもスポーツならでは」と、知力を伴う奥深さを魅力にあげる。
そもそも、ゲートボールは子ども向けの遊びとして1947年に発祥した。日本ゲートボール連合(本部・東京都)によれば、当初は思うように普及しなかったものの、64年の東京五輪開催を機に全国的に健康維持に対する機運が高まり、あまり体力を必要としないことから高齢者の間で急速に広まった。95年頃には愛好者が600万人に上ったという。
しかしながら、近年は個人競技のグラウンドゴルフやパークゴルフといったニュースポーツも誕生。セカンドライフを楽しむ選択肢が増え、ゲートボール愛好者は120万人に減少している。
この傾向は、県西2市8町を中心としたチーム対象の同大会でも顕著。今年は34チーム206人が参加したが、90年代のピーク時に比べると約3分の1、25回を数える歴史で最少だった。
今年度、小田原市ゲートボール協会に加盟するのは1団体14人。同協会は「高齢でやめていく人が多い一方、新たに始める人は少ない。活動は縮小の一途」と、あきらめムードも漂う。
だが、チーム競技ならではの魅力もある。同連合によると、東日本大震災被災地の仮設住宅ではゲートボールを通じた交流が生まれているという。同信用金庫の大会担当者も、「チームで協力しあうことで団結力が生まれる。地域の親睦に必要な競技」と話した。
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