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公開日:2018.06.23

「食料品アクセス困難人口」推計
市全域に分布
東京圏で増加顕著

  • 市全域に分布する買い物難民=農林水産製作研究所食品アクセスマップより引用

  • 神奈川県内では都市部ほど割合が高い

  • 春日井市の移動販売車=春日井市観光コンベンション協会提供

 農林水産省が6月8日、2015年に実施した国勢調査などを元に推計した全国の「食料品アクセス困難人口」を発表した。大型商業施設の郊外化に伴って都市部でも増加するなか、小田原でも市内全域に分布する結果となったが、実態とは必ずしも一致していないようだ。

 食料品アクセス困難人口とは、最寄りの生鮮食品を扱う小売店やスーパー、コンビニエンスストアなどが自宅から500m以内になく、かつ自動車を利用できない65歳以上の高齢者の数。10年前の調査時と比較して全国で21・6%増の825万人、神奈川県を含む東京圏では59・3%増と割合が顕著に高かった。

 全国の市町村別にみると、いわゆる買い物難民が集中していたのは山間部や過疎地域。市内でも小田原駅以南の沿岸部、二宮町に隣接する東部など中心部から離れた地域で比較的高い数値を示していた。その一方、コンビニエンスストアが密集する市街地でも人口が分布していることも分かった(図)。

 農水省による調査の分析によると、都市部における買い物難民増加の背景にあるのは大型商業施設の郊外化や自家用車の所有率低下。駐車場問題などから、都市部ほど自家用車を所有しづらい環境にあることも影響しているとみられ、店舗と買い物難民の数は必ずしも比例するとは言えない。

 農水省では今回の結果をもとに、各地域の実情に応じた対策の実施に役立ててもらいたい考えだ。

地域の支えが効果市内の対策

 市では在宅で要介護3以上の高齢者を対象に、初乗り運賃相当額を助成する福祉タクシー券を交付している。利用目的は問わないため、買い物に使用することも可能だ。

 また、高齢者や障害者を地域で支える「ケアタウン構想」を推進する市は、6年前に取り組みの一環で生活応援隊を結成。地域主体の組織では高齢者の買い物代行も担い、東富水地区を皮切りに活動は市内7地区に広がる。市は「買い物難民の問題は切迫していない」とし、当面はこうした活動を推し進める考えだ。

 全国では群馬県高崎市で13年、高齢者向け買い物支援タクシーチケットの交付を開始。町内会対象の事業で、申請許可が下りると上限500円のタクシーチケットが月48枚交付される。また、愛知県春日井市では買い物困難地域に移動販売車が走る。行政と一般社団法人、民間が三位一体で取り組むもので、3年前の開始時より台数を増やすなど好評だ。

小田原では低需要

 同様の取り組みは市内にもある。橘商店会は市の助成を受け、橘商工会の協力のもと12年3月に出張商店街を開始した。商品を積んだトラックで地域を月に1度巡回するもので、持続可能な商店会の実現も狙い。出張回数を増やしたこともあるが、売上額や集客数にさほど変化はなかった。今後も事業は継続するが、橘商工会は「小田原では買い物に困っている人はまだ少ないようだ」と話していた。

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