6月に開催された大和市長杯争奪軟式野球大会で、国立印刷局小田原(市内酒匂)が連覇を達成した。チームは、社会人軟式野球の日本最高峰の大会「天皇賜杯全日本軟式野球大会ENEOSトーナメント」に神奈川県代表として出場する。
「打ち勝つチームではないが、守備には絶対の自信がある。どう勝つか考え、徹底した」。泰平誠監督(44)は満足げにうなずいた。人工芝のスタジアム、弾む軟球。叩きつけるバッティングと小技で相手のミスを誘う戦術がうまく機能した。
接戦制す
山場は決勝戦、湘南信用金庫との一戦。5月の国体予選でコールド負けを喫した相手だ。銘苅(めかる)太一投手(26)は打ちこまれた残像がよぎり「不安でいっぱい」の中マウンドへ。すると初回、四死球が重なり二死満塁のピンチを招く。「まだ序盤、思い切り腕をふってこい」。花園航生(かずき)主将(27)のサインにうなずき投げ込んだ渾身のストレートに、相手のバットは空を切った。「これで落ち着けた」チームは直後、相手エラーから好機を作ると盗塁も絡め2点を先制。「ロースコアは自分たちのペース」(花園主将)と主導権を握った。エースの力投と堅実な守り。少ないチャンスを生かし、4―2と見事リベンジを果たした。
少数精鋭
内野の要・杉山正選手(25)は「試合を重ねる度に勝てるという雰囲気ができてきた」と振り返る。平均年齢23〜24歳と若いチームは、現在16人で活動。普段は紙幣の製造・印刷業務につく。部署ごとに業務時間も異なるため、全体練習ができるのは週末のみ。「貴重な時間だからこそ集中できている」(泰平監督)。少数精鋭ゆえのチームワークも大きな武器だ。
かつて相洋高でもエースナンバーを背負った銘苅投手は「軟球になれるまで3年かかった」とはにかむが、今では強気の投球でねじ伏せる右腕としてフル回転。今大会も一人で投げ抜き、優秀選手に選出された。重要なつなぎ役を担う宇都光司外野手(22)は「常に挑戦者の気持ちでやっている。全国での貴重な経験、少しでも上を目指したい」と意気込む。真骨頂の堅守巧打の野球をみせられるか、注目だ。
全日本大会は9月7日から山形県で行われる。
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